無痛性陰嚢腫瘤の主な原因

原因

示唆する所見

診断アプローチ

陰嚢水腫(交通性)は通常,鼠径ヘルニア患者にみられる

嚢胞性の腫脹

起立時または腹腔内圧の上昇時に大きさが増大する

通常は先天性である

透光性を示す

臨床的評価

診断が不確かな場合は超音波検査

陰嚢水腫(非交通性)

嚢胞性の腫脹

体位または腹腔内圧が変化しても大きさが変わらない

しばしば陰嚢の異常(例,腫瘍,精巣上体炎)が併存する

透光性を示す

臨床的評価

通常は超音波検査

精液瘤

精巣上極の精巣上体近傍に嚢胞性腫瘤を認める

透光性を示す

臨床的評価

診断が不確かな場合は超音波検査

鼠径ヘルニア

起立時または腹腔内圧の上昇時に大きさが増大する

臥位により消失することがある,または還納もしくは圧縮が可能である

腸音が聴取されることがある

腫瘤上に正常な精索構造が認められない

鼠径管内に触知できることがある

臨床的評価

精索静脈瘤

起立時に触知でき(バルサルバ法でより明確になる),袋に入ったミミズのような感触を呈する

通常は左側

起立時に疼痛および緊満感を認めることがある

精巣萎縮を認めることがある

臨床的評価

陰嚢血腫

圧痛を伴う腫脹

危険因子(例,外傷,手術,出血性疾患,抗凝固薬の使用)

通常は超音波検査

体液過剰

びまん性かつ両側性の陰嚢腫大

しばしば下肢の圧痕性浮腫

しばしば原因疾患が明らかである(例,心不全腹水

透光性を示す

臨床的評価

診断が不確かな場合は超音波検査

リンパ浮腫(例,フィラリア症によるもの,先天性,特発性,骨盤照射後,がんの発生後[例,前立腺癌,膀胱癌,精巣腫瘍])

びまん性の陰嚢腫脹

しばしば非圧痕性である

臨床的評価

診断が不確かな場合は画像検査(CT/超音波検査)

精巣腫瘍

腫瘤が精巣に付着しているか精巣の一部である

充実性である,または透光性を示さない

うずくような鈍痛または出血に起因する急性痛を伴うことがある

陰嚢の超音波検査

α-フェトプロテイン

β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン

乳酸脱水素酵素

腹部CT

関連するトピック