リンコサミド系(クリンダマイシン),オキサゾリジノン系(リネゾリド,テジゾリド),およびストレプトグラミン系(ダルホプリスチン[ストレプトグラミンA]およびキヌプリスチン[ストレプトグラミンB])薬剤は,構造的には異なるものの,抗菌作用の機序および抗菌スペクトルが類似していることから,1つのグループに分類される。同様の理由から,マクロライド系薬剤(フィダキソマイシンを除く)およびクロラムフェニコールをこのグループに含めることもある。いずれもリボソームの50Sサブユニットに結合することによってタンパク質合成を阻害する。フィダキソマイシンは他のマクロライド系薬剤とは全く異なる作用機序を有しており,鋳型DNA–RNAポリメラーゼ複合体に結合することによってRNAポリメラーゼを阻害する。
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特定のメチルトランスフェラーゼ酵素は,上記のクラスに属する複数の薬剤への耐性を媒介することがある。erm(erythromycin resistance methylase)遺伝子は,一般的にマクロライド系,クリンダマイシン,およびキヌプリスチンに対する耐性を媒介するが,オキサゾリジノン系およびダルホプリスチンに対する耐性は媒介しない。cfr(chloramphenicol-florfenicol resistance)遺伝子は,クロラムフェニコール,ダルホプリスチン,クリンダマイシン,およびオキサゾリジノン系に対する耐性を媒介するが,テジゾリドは一部の菌株で感受性が維持されることがある。特定の多剤排出ポンプも,一部のクラスの間で交差耐性を生み出すことがある。