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ある遺伝子変異がプロトロンビン(第II因子)の血漿中濃度の上昇を引き起こし,静脈血栓症の素因となる。
(血栓性疾患の概要も参照のこと。)
プロトロンビン(第II因子)は,凝固カスケードの最終産物としての酵素であるトロンビンのビタミンK依存性の前駆体である(血液凝固経路の図を参照)。 一方(または頻度は下がるが両方)のプロトロンビン遺伝子の遺伝子座20210における一塩基の変異は,血漿プロトロンビン濃度の上昇を招き(トロンビン生成の増加を伴う可能性あり),静脈血栓塞栓(VTE)のリスクを高める。
この変異の保有率は,調査対象集団によって1%未満から4%までの幅がある(1)。この変異はアジア系またはアフリカ系の人では非常にまれである(1)。
診断は,血液検体を用いたプロトロンビン20210の遺伝子解析により行う。
総論の参考文献
1.Rosendaal FR, Doggen CJ, Zivelin A, et al.Geographic distribution of the 20210 G to A prothrombin variant. Thromb Haemost 1998;79(4):706-708.
プロトロンビン(第II因子)20210遺伝子変異の治療
抗凝固療法
プロトロンビン20210遺伝子変異のコピーを1つ(ヘテロ接合体)または2つ(ホモ接合体)有する患者では,静脈血栓症の予防および治療に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)またはワルファリンを使用できる。
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