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認知障害の原因として最も頻度の高い病態は,せん妄(ときに急性錯乱状態とも呼ばれる)と認知症であるが,気分障害(例,うつ病)によって認知機能が障害されることもある。せん妄と認知症は異なる病態であるが,ときに鑑別が困難である。どちらも認知機能が障害されるが,両者の鑑別には以下の点が役立つ:
せん妄は主に注意力に影響を及ぼす。
認知症は主に記憶に影響を及ぼす。
その他の特異的な特徴も,これら2つの病態の鑑別に有用である(せん妄と認知症の相違点の表を参照)。
せん妄は典型的には急性疾患または薬物中毒(ときに生命を脅かす)によって引き起こされ,可逆的であることが多い。
認知症は典型的には脳の解剖学的変化によって生じ,発症がより緩徐で,一般に不可逆的である。
認知症患者は,しばしばせん妄を起こす。高齢患者では,せん妄を認知症と誤認すること(よくある臨床的エラー)を避けなければならず,せん妄が慢性の認知症に併発している場合には特に注意が必要である。臨床検査では認知障害の原因を確定できないため,徹底的な病歴聴取および身体診察,ならびにベースラインの機能に関する情報が不可欠である。
表&コラム
せん妄と認知症の相違点*
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