剥離性間質性肺炎は気腔への単核球浸潤を特徴とする慢性的な肺の炎症である;ほぼ全例が現喫煙者または喫煙歴のある患者における発症である。
剥離性間質性肺炎は特発性間質性肺炎の1つの型である。剥離性間質性肺炎の成人患者の大多数は喫煙者で,30代または40代に発症する傾向がある。
この疾患は均一に肺実質を侵す傾向がある。肺胞壁は膨張した立方形の肺胞上皮細胞で覆われている;肺胞中隔にリンパ球,形質細胞,およびときに好酸球の中等度浸潤がみられる。肺胞中隔の線維化は,存在するとしても軽度である。
最も顕著な特徴は,遠位気腔内に色素が沈着した多数のマクロファージを認めることであり,これはこの疾患の最初の報告時に剥離した肺胞上皮細胞と誤認された。蜂巣肺はまれである。同様の所見が,範囲はかなり狭いものの呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(RBILD)においてもみられるため,剥離性間質性肺炎とRBILDは,喫煙によって生じる同じ疾患の異なる臨床像であると考えられる。
剥離性間質性肺炎の臨床像は,緩徐に悪化する呼吸困難および乾性咳嗽である。
剥離性間質性肺炎の診断
高分解能CT(HRCT)
ときに外科的肺生検
胸部X線で,両側肺底部に蜂巣肺を伴わないかすんだ陰影がみられることがあるが,剥離性間質性肺炎の最大20%の症例で胸部X線は正常である。HRCTでは,多病巣性またはびまん性の,肺底部の胸膜下すりガラス陰影がみられる。嚢胞が存在することもあり,しばしばすりガラス陰影のある領域にみられる。不規則な線状および網状陰影がよくみられるが,通常はこれが優勢な所見ではない。蜂巣肺がみえることもあり,少数の患者に生じるが,範囲は通常限られている。
外科的肺生検がときに必要となる。
剥離性間質性肺炎の治療
禁煙
ときにコルチコステロイドまたは細胞傷害性薬剤
禁煙は75%の剥離性間質性肺炎患者に臨床的改善をもたらすと推定される。改善しない患者はコルチコステロイドまたは細胞傷害性薬剤に反応することがある。
予後は良好であり,10年生存率は約70%である(1)。
治療に関する参考文献
1.Travis WD, Costabel U, Hansell DM, et al.An official American Thoracic Society/European Respiratory Society statement: Update of the international multidisciplinary classification of the idiopathic interstitial pneumonias. Am J Respir Crit Care Med 2013;188(6):733-748.doi:10.1164/rccm.201308-1483ST