急性間質性肺炎(AIP)は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に似た臨床像を呈する,まれな劇症型特発性肺疾患である。
急性間質性肺炎は特発性間質性肺炎の1つの型であり,一見健常な通常 > 40歳の男女に発生する。
AIPの組織学的定義は,器質化期のびまん性肺胞傷害であり,これは特発性間質性肺炎と関連のない他の原因による肺損傷でもみられる非特異的なパターンである。器質化期のびまん性肺胞傷害の特徴は,炎症細胞浸潤を伴うびまん性の著明な肺胞中隔浮腫,線維芽細胞の増殖,ときに硝子膜,および肺胞壁の肥厚である。中隔の内側は過形成した異型II型肺胞上皮細胞によって覆われ,気腔は虚脱する。細い動脈に血栓が生じるが,非特異的である。
急性間質性肺炎の症状は,突然発症する発熱,咳嗽,および息切れから成り,これらの症状は多くの患者で7日~14日かけて重症化し,呼吸不全へと進行する。
急性間質性肺炎の診断
高分解能CT(HRCT)
ときに肺生検
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の症状,徴候,胸部X線所見(例,びまん性両側性の気腔不透過像)がある患者では急性間質性肺炎を疑う。基礎にある肺疾患の急性増悪(特に特発性肺線維症の急性増悪)を考慮すべきであり,これによりそれまでAIPとみなされていた症例の原因を説明できる可能性がある。
高分解能CT(HRCT)はAIPの診断を補助するが,確定診断には通常,生検が必要である。HRCTでは,両側対称性の斑状すりガラス陰影の領域,および,ときに両側性の気腔のコンソリデーション(浸潤影)が胸膜下優位にみられる。軽度の蜂巣肺が,通常,肺の < 10%に認められることもある。
ルーチンの臨床検査の結果は非特異的で,ほとんど役に立たない。
外科的肺生検でびまん性肺胞傷害を認め,ARDSおよびびまん性肺胞傷害の既知の原因がなければ,適切な臨床状況下ではAIPの診断が支持される。基礎にある肺疾患の急性増悪(特に特発性肺線維症の急性増悪)を考慮すべきであり,これによりそれまでAIPとみなされていた症例の原因を説明できる可能性がある。また,AIPをびまん性肺胞出血,急性好酸球性肺炎,および特発性器質化肺炎と鑑別するために,しばしば生検が必要となる。ただし,外科的肺生検のリスクとベネフィットは慎重に検討しなければならない。
急性間質性肺炎の治療
支持療法
急性間質性肺炎の治療は支持療法であり,通常機械的人工換気を要し,しばしばARDSと同じ方法が用いられる(1回換気量を低く設定するなど)。コルチコステロイド療法が一般に行われるが,その効果は確立されていない。
死亡率は50%を超える;大半の患者は発症後6カ月以内に死亡し,通常,死因は呼吸不全である(1)。最初の急性エピソードを乗り越えた患者は,肺機能を完全に回復することがあるが,疾患が再発することもある。
治療に関する参考文献
1.Travis WD, Costabel U, Hansell DM, et al.An official American Thoracic Society/European Respiratory Society statement: Update of the international multidisciplinary classification of the idiopathic interstitial pneumonias. Am J Respir Crit Care Med 2013;188(6):733-748.doi:10.1164/rccm.201308-1483ST