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複数の関節における痛みの主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査†

通常は左右対称の関節痛を引き起こす病気

線維筋痛症

関節に炎症はない

広範囲にわたる筋肉の持続的な痛みや圧痛(関節または背中が痛むこともある)

疲労

ときとして過敏性腸症候群または睡眠障害

通常は慢性、女性がかかることが多い

しばしば抑うつ、または他の気分症

ときに検査の必要なし

ウイルスを原因とする感染性関節炎

炎症の有無を問わない関節痛、一般的には数時間または数日かけて発症

ウイルス感染症の他の症状(例えば、B型肝炎では黄疸、C型肝炎では脚の紫斑、HIVではリンパ節の腫れが起こります)

関節液の分析

ウイルスを特定するための血液検査(ほとんどの場合はC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、またはパルボウイルス)

若年性特発性関節炎

小児期の慢性‡かつ左右対称の関節炎

腰痛

全身のリンパ節の腫れ、および発熱の発作

肝臓や脾臓の腫大

心臓、または肺の周辺の余分な体液

発疹、または眼の痛みおよび充血

自己抗体の血液検査§

関節炎の原因となる他の病気(例えばシェーグレン症候群全身性強皮症

軽度の腫れを伴う場合もある、多くの関節の痛み

自己抗体の血液検査§

関節リウマチ

大小の関節の慢性‡かつ左右対称の炎症

疲労と朝のこわばり

最終的には関節の変形(特にこぶしと手首の関節)

ときとして皮膚の下の硬い腫れと手根管症候群

若い成人で多いが60歳以上でもかかることがある

X線検査

自己抗体の血液検査§

血清病(血流に外来タンパク質が大量にある状態に対する免疫システムの反応)

いくつかの関節の痛みと炎症

発熱、発疹、リンパ節の腫れ

最初に症状が現れる21日前以降に外来タンパク質にさらされたことが分かっている人(例えば輸血による)

ときに血液検査

関節が異常に柔軟になる症候群(例えばエーラス-ダンロス症候群

通常は多数の関節の痛み

関節の炎症は非常にまれ

皮膚のたるみ(弛緩)が増す

繰り返す関節の脱臼やずれの病歴があると分かっている人にみられる

家族にこの病気の患者がいると分かっている人にみられる

ときに遺伝子検査

全身性エリテマトーデスやあまり一般的でない他の自己免疫疾患(例えば、自己免疫性筋炎シェーグレン症候群IgA血管炎などの血管炎

炎症を伴うことがある関節痛‡で、この病気が再燃した際に起こることがある

特定の自己免疫疾患に応じた他の症状、例えば皮膚の変化、腹痛、筋肉痛、腎疾患、肺や心臓など臓器の周囲の液貯留(漿膜炎)、ドライアイと口腔乾燥

様々な自己抗体の血液検査§

ときとして皮膚、腎臓、または他の侵された臓器の生検

尿検査

通常は左右非対称の関節痛を引き起こす病気

強直性脊椎炎

大きな関節が侵される

ほとんどの場合腰痛

眼の充血と痛み(虹彩炎)

アキレス腱炎

血液が大動脈弁を逆流する(大動脈弁閉鎖不全)

X線検査

ときにCT検査またはMRI検査

ベーチェット病

口と性器の慢性‡または繰り返し起こる潰瘍

ときとして眼の痛みと充血

20代で発症することが多い

通常はアジアおよび中東の一部(米国では比較的まれ)

ときに検査の必要なし

痛風とその関連疾患(例えば、ピロリン酸カルシウム関節炎

突然かつ激しい痛み、熱感、腫れ(特に足の親指または膝でみられるが、ほぼすべての関節でみられる)

ときに発熱

侵される関節は1つだけの場合が多いが、ときに多数の関節が侵される

関節液の検査

感染性心内膜炎(心臓の内側を覆っている膜の感染症で、通常は心臓の弁も感染する)

関節の痛みと腫れ

発熱、寝汗、発疹、体重減少、心雑音がよくみられる

血液検査

心エコー検査

変形性関節症

ほとんどの場合は膝、股関節、指の小さな関節(腫れてわずかに変形することもある)にみられる、慢性の痛み

発赤はない

しばしば背中と首の痛み

X線検査

乾癬性関節炎

乾癬(ときとして皮膚の病変がほとんどまたはまったくない)

ときに慢性‡かつ左右対称の関節の炎症

手の指、足の指、爪の慢性の変形

腱炎

眼の充血と痛み

X線検査

反応性関節炎および腸炎性関節炎

突然の痛み、通常は脚または足の大きな関節に起こり、消化管の感染症(例えば胃腸炎)または泌尿生殖器の感染症(例えば尿道炎)の1~3週間後にみられることが多い

ときとして脊椎が侵される

性感染症の検査

* 特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。

†X線検査は必要がない場合も多いです。関節に貯留液がある場合は、しばしば検査のために吸引する必要があります。

‡症状が突然始まることもありますが、この病気は一般的には慢性であるか現れたりなくなったりします。

§自己抗体とは、自分自身の組織を攻撃する抗体です。例としては、抗核抗体、抗二本鎖DNA抗体、抗環状シトルリン化ペプチド抗体、リウマトイド因子が挙げられます。

CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。

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