薬用ニンジンとは何ですか?
薬用ニンジンは、通常、アメリカニンジンと高麗ニンジンという2つの種から得られます。アメリカニンジンは高麗ニンジンよりも作用が穏やかです。薬用ニンジンは、生の根や乾燥させた根、エキス、液剤、カプセル、錠剤、化粧品、炭酸飲料、お茶など、多くの形で入手できます。アメリカニンジンの有効成分はパナキソシドで、高麗ニンジンはギンセノシドです。
シベリアニンジン(エゾウコギ)は薬用ニンジンとは違う種類で、有効成分が異なります。
薬用ニンジン製品の品質にはかなりばらつきがあり、検出可能な有効成分がほとんど、あるいはまったく含まれていないものも多くみられます。非常にまれですが、アジアから輸入された薬用ニンジン製品の中にはマンドレークの根や、容認できない副作用があったために米国市場から回収されたフェニルブタゾンやアミノピリンを故意に混ぜたものもあります。
(サプリメントの概要も参照のこと。)
薬用ニンジンについてどのような効能が主張されていますか?
薬用ニンジンは多くの場合、心身の能力を高めたり、ストレスや加齢による有害な作用に対する抵抗力や活力を増進させたりするために摂取します。勃起障害の治療など、性的能力を高めるための使用も多くみられます。薬用ニンジンは血糖値を低下させ、いわゆる「善玉」コレステロールである高密度リポタンパク質(HDL)の値を上昇させるようです。さらに、薬用ニンジンは免疫機能を高める可能性もあります。
薬用ニンジンには効果がありますか?
薬用ニンジンが健康な人や認知症と診断された人の精神能力を高めるという科学的根拠はありません。
ある研究によると、かぜは予防できなかったものの、かぜの持続期間は短くなりました。
大規模ながら短期間の1件の試験では、主観的な報告として、薬用ニンジンによる生活の質の改善が示されました。しかしながら、生活の質(および活力など薬用ニンジンが及ぼしうるその他の影響)の評価は、非常に主観的であるため困難です。糖尿病患者を対象にした1件の試験では、薬用ニンジンは血糖値を低下させ、気分や活力に改善がみられました。アメリカニンジンが気道感染症の緩和に役立つ可能性を示唆する予備的な科学的根拠もあります。
薬用ニンジンの起こりうる副作用にはどのようなものがありますか?
薬用ニンジンはおおむね安全であるとの報告があります。しかし、副作用が生じる可能性を考慮して、薬用ニンジンの使用を3カ月間に制限することを勧める国もあります。最もよくみられる副作用は神経過敏と興奮性亢進ですが、通常は投与開始から数日で治まります。集中力が低下することもあり、血糖値が異常な域まで低下することもあります(低血糖)。その他の副作用には、頭痛、アレルギー反応、睡眠障害、消化不良、乳房の圧痛、月経不順などがあります。薬用ニンジンにはエストロゲンに似た作用があるため、妊婦や授乳中の女性はもちろん、小児も服用してはいけません。
たまに、喘息の発作、血圧の上昇、動悸、不整脈のリスク、閉経後女性の子宮出血といった重い副作用が報告されています。多くの人が薬用ニンジンの味をおいしくないと感じます。
薬用ニンジンにはどのような薬物相互作用がありますか?
薬用ニンジンは抗凝固薬、アスピリン、その他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、コルチコステロイド、ジゴキシン、エストロゲン補充療法、うつ病治療薬のモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、糖尿病治療薬の血糖降下薬(血糖値を下げる薬)と相互作用を起こすことがあります。
また、薬用ニンジンが一部の薬剤の血清中濃度を上昇させる可能性もあります。例えば、薬用ニンジンはイマチニブ(白血病の治療に使用)やラルテグラビル(HIVの治療に使用)の濃度を上昇させ、肝毒性を引き起こす可能性があります。
薬用ニンジンをアミオダロンやチオリダジンなどの心拍リズムに影響を及ぼす特定の薬剤と併用すると、不整脈が起こることがあります。
推奨事項
薬用ニンジンは、健康上の便益が証明されておらず、重大な副作用や薬物相互作用のリスクがいくらかあるため、推奨されません。妊婦や授乳中の女性は薬用ニンジンを摂取してはいけません。