非凍結性の組織障害は、皮膚の一部が極度に冷えているものの凍結はしていない状態です。
非凍結性の組織障害にはフロストニップ、浸水足、しもやけ(凍瘡)があります。(寒冷障害の概要も参照のこと。)
フロストニップ
フロストニップは、冷えた部分の皮膚がしびれ、腫れて赤くなる寒冷障害です。治療は冷えた部分を数分温めるだけです。温めると、患部に激しい痛みやかゆみが生じます。症状が永続することはありませんが、患部は数カ月から数年間は冷たさに過敏になる場合があります。
浸水足(塹壕足)
浸水足(塹壕足)は、湿った冷たい靴下やブーツを何日も履いていることによって起こる寒冷障害です。足が青白く、じとじとして、腫れて、冷たくなります。温めると赤くなり、触れると痛みを感じます。ときには水疱ができて、それがつぶれ、感染を起こすこともあります。その部分の皮膚は温度変化や、ほんのわずかな接触にも過敏になり、その状態が数週間続きます。また、足に過剰な発汗がみられる場合もあります。
治療は主に以下の方法で行います。
足をやさしく温め、乾燥させ、清潔にする
足を挙上する
足を暖かく乾いた状態に保つ
感染予防のため抗菌薬が投与されることもあります。破傷風ワクチンの接種状況を確認し、有効でない場合は破傷風ワクチンの追加接種を行います。痛みや軽い圧迫に対する過敏性を緩和するために、アミトリプチリンが投与されることもあります。ニコチンは血流を阻害するため、禁煙してニコチン製品の摂取を控えることが治療に役立ちます。
まれにこの寒冷障害が手に生じることもあります。
浸水足は多くの場合、足に合った靴やブーツを履き、少なくとも毎日靴下を替えて足を乾いた状態にしておくことで予防できます。
しもやけ(凍瘡)
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しもやけ(凍瘡)は、乾燥した冷気に繰り返しさらされたときに起こる珍しい反応です。症状には、かゆみ、痛み、発赤、腫れなどがあり、まれに、皮膚の変色や水疱が患部(通常は、すねや指の背側)にみられます。症状は不快で、再発を繰り返しますが、深刻なものではありません。冷気にさらされないようにすることが最善の治療です。ニフェジピンやリマプロスト、コルチコステロイドを内服すると症状が軽減することがあります。ニコチンを避けると治療に役立ちます。