高齢者の他の生活環境

執筆者:Daniel B. Kaplan, PhD, LICSW, Adelphi University School of Social Work;
Barbara J. Berkman, DSW, PhD, Columbia University School of Social Work
レビュー/改訂 2021年 3月
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配偶者との同居、成人した子との同居、または一人暮らし以外の生活環境や対人関係は、高齢者にかなりよくみられます。例えば、結婚歴のない高齢者、離婚歴のある高齢者、または配偶者と死別した高齢者のうち、かなりの割合の人は、兄弟姉妹、友人、パートナーとの長期にわたる親密な関係を有しています。高齢者の中には、経済的理由またはその他の理由で、未婚のパートナーとして生活することを選択する人もいます。

未婚のパートナー関係にある高齢者は特殊な問題に直面することがあります。医療体制上、パートナーが介護に関する決定に関与する者または患者の家族の一員として認められていないことや、状況に応じたサービスが提供されないことがあります。例えば、パートナーは認知障害のある患者の代わりに意思決定を行う法的地位がないことや、居住型の介護施設またはその他の集団生活環境で部屋を共用できないことがあります。誰が入院中の人を訪問できるのかや、治療に関する決定を下す能力がない人に代わって、誰がその決定を下せるのかについての法律(既定の代理人による意思決定を参照)は州によって異なるため、このような状況にある人は弁護士に相談しなければならないことがあります。

場合によっては、周囲の人が、依存性の強くなった高齢者との同居を申し出ることがあります。最も多いのは成人した子ですが、他の家族または友人が同居することもあります。同居する人は、単に話し相手となるだけの場合もあれば、または介護の責任を負う場合もあります。このような生活環境は、高齢者が自宅で生活できる期間を延長させ、かつ関係するすべての人々にとってかなり満足度が高いといえます。ただし、その環境に対する各人の希望を明らかにして、合意の上で継続するべきです。

同性愛者またはトランスジェンダーの高齢者

米国の人口の約6~10%が、同性愛者(レズビアン、ゲイ)、両性愛者(バイセクシャル)、トランスジェンダー(LGBT)であると推定され、うち50歳以上は270万人、65歳以上は110万人含まれます。有色人種がLGBTの高齢者の20%を占めています。LGBTの高齢者の3分の1が連邦貧困水準の200%以下で生活していますが、その中には80歳以上のLGBT成人の40%が含まれています。

同性愛関係にある高齢者は、貧困率が高く、しばしば生涯にわたる差別と抑圧に加えて、特別な介護の課題に直面します。医療体制上、このような高齢者の性的嗜好または性同一性が認識されていないこと、パートナーが介護に関する決定に関与する者または患者の家族の一員として認識されていないこと、また状況に応じたサービスが提供されないことがあります。医療従事者は、パートナーおよび婚姻状態または生活環境について質問し、患者の希望を取り入れるよう努めるべきです。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. LGBTの高齢者が抱える問題への理解(Understanding Issues Facing LGBT Older Adults):ムーブメント・アドバンスメント・プロジェクト(Movement Advancement Project[MAP])とSAGEにより作成され、LGBTの高齢者特有のニーズと経験について説明しています。

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