大理石骨病とは、骨密度を上昇させ骨の異常な増殖を引き起こす、まれな遺伝性疾患の一群のことです。
そのような病気は、古い骨細胞が再利用されない場合に起こります。
典型的な症状としては、骨の成長障害や折れやすい厚い骨などがあります。
診断は症状とX線所見に基づいて下されます。
乳児に発症した場合は、治療しなければ死亡することがあります。
治癒することはありませんが、いくつかの治療法がこの病気で起こった問題を軽減するのに役立ちます。
(小児における骨の病気の概要も参照のこと。)
大理石骨病は、特定の遺伝子の異常が原因で発生します。それらの異常な遺伝子は遺伝します。つまり、親から子どもに受けつがれる可能性があります。
骨細胞は、絶え間なくゆっくりと作られ、一定期間生存した後に吸収される形で、リサイクルされています。大理石骨病では、古くなった骨細胞がリサイクルされなくなります。その結果、骨密度が上昇したり、骨の作られ方が変化します。これらの変化により、正常に比べて骨が弱くなります。また、高密度の骨組織が、血球が形成される場所である骨髄を埋め尽くします。
大理石骨病は、軽症から重症まで程度に幅があり、生命を脅かす場合もあります。大理石骨病の症状は、乳児期に始まる場合(早発性)もあれば、より後になってから生じる場合(遅発性)もあります。
大理石骨病の症状
大理石骨病は様々な病気の総称ですが、ほとんどの病気で多くの同じ症状が起こります。通常、骨の成長が阻害されます。骨が厚くなって折れやすくなります。骨髄が少なくなるため血球の形成が阻害されることがあり、貧血や感染症、出血につながります。
頭蓋骨の過剰な増殖により、頭蓋骨内に圧力がかかったり、神経が圧迫されて顔面神経麻痺や視力、聴覚の障害が起こったり、顔や歯がゆがんだりすることがあります。手の指や足の骨、腕や脚の長管骨、脊椎、骨盤が影響を受けることもあります。
大理石骨病の診断
X線検査
大理石骨病の診断は通常、症状と、X線検査で骨の密度が非常に高いか異常な形の骨が認められることに基づいて下されます。
症状がない場合に、別の目的で行われたX線検査で高密度の骨が認められたことで、大理石骨病が偶然見つかる場合があります。
大理石骨病の予後(経過の見通し)
早発性の大理石骨病は、造血幹細胞移植で治療しないと、通常は乳児期または幼児期に死に至ります。死因は通常、貧血、感染症、または出血です。
遅発性の大理石骨病は、多くの場合、非常に軽度です。
大理石骨病の治療
コルチコステロイド
ときに造血幹細胞移植
ときに手術
大理石骨病に対する根治的な治療法はありません。
プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドは、新しい骨細胞の形成を遅らせ、古い骨細胞の除去を速める可能性があり、それにより骨が強くなります。コルチコステロイドはさらに、骨の痛みの緩和と筋力の向上にも役立つことがあります。
造血幹細胞移植によって早発性の乳児が治癒したとみられる症例もあります。しかし、移植後の長期的な予後は不明です。
骨折、貧血、出血、感染症に対する治療が必要です。
頭蓋骨を通る神経が圧迫されている場合は、その圧迫を取り除く手術を行うことがあります。上昇した頭蓋骨内の圧力を軽減するためにも手術が必要になることがあります。顔面とあごの重度の変形を修正するために、形成手術が行われることもあります。
変形した歯の歯科矯正治療も必要になることがあります。