Consumer edition active

原発性乳児緑内障

(乳児緑内障、先天性緑内障、牛眼症)

執筆者:Leila M. Khazaeni, MD, Loma Linda University School of Medicine
レビュー/改訂 2024年 3月
プロフェッショナル版を見る

原発性乳児緑内障(primary infantile glaucoma)は、眼内の液体(房水)が眼の前方の区画からきちんと排出されない、まれな先天異常です。このため、眼の内部の圧が上昇し、これを放置すると、視神経が損傷して完全な失明に至ることがあります。

本ページのリソース

(成人における緑内障も参照のこと。)

正常であれば、眼に栄養を与えている液体(房水)は、虹彩の裏側にある毛様体(後房内)でつくられ、瞳孔を通って眼の前方(前房)に流れていき、虹彩と角膜の間の排出管から排出されます。房水の排出が妨げられると、眼の内圧(眼圧)が上昇します。

房水の正常な排出

房水は眼に栄養を与えている液体です。この液体は、虹彩の裏側(後房内)にある毛様体でつくられ、後房から眼球の前方(前房)へと流れ込み、そこから排出管を通って外へと流れ出ていきます。

原発性乳児緑内障は、乳幼児に発生し、片眼に現れることもあれば、より多くの場合、両眼に現れます。原発性乳児緑内障の場合、眼圧は正常範囲を超えて上昇します。

続発緑内障は、スタージ-ウェーバー症候群などの、眼に影響を及ぼす別の疾患により眼圧が上昇する場合に生じます。乳児の眼圧は、けがや眼の手術(白内障の除去など)の後にも上昇することがあります。

原発性乳児緑内障では、眼圧上昇により強膜(眼を覆う白く丈夫な線維の膜)および角膜(虹彩と瞳孔の前にある透明な層)が伸張するために緑内障の眼が膨張することがあります。この膨張は、成人の緑内障では起こりません。ときに、角膜が濁ることもあります。流涙や、明るい光を見たときの眼痛(羞明)がみられることもあります。

原発性乳児緑内障の診断

  • 眼球および角膜の測定

乳児に流涙、頻繁なまばたき、および光への過敏がみられる場合、医師は原発性乳児緑内障を疑います。

診察室や診療所で完全な眼の診察を行った後に、眼球と角膜の特殊な測定ができるよう、手術室で全身麻酔下に、より詳しい診察を行うことで、診断を確定します。

原発性乳児緑内障の治療

  • 手術

治療しなければ、角膜はますます濁り、視神経が損傷し、失明に至る可能性があります。こういった合併症を予防するため、医師は新しい排出路を形成する外科手術(隅角切開術、線維柱帯切開術、または線維柱帯切除術)をできる限り早く行います。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国小児斜視学会の小児眼財団(Children's Eye Foundation of AAPOS):小児の視力を保護する上での予防、病気の発見、研究、教育に関する実用的な情報

quizzes_lightbulb_red
医学知識をチェックTake a Quiz!
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS