新生児の出生時に、個々の筋肉や筋肉群が欠損していたり、筋肉の発育不全がみられることがあります。
先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。(顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。)
筋肉の先天異常は、単体で発生することもあれば症候群の一部として発生することもあります。
大胸筋(胸の大きな筋肉)が部分的にしかできていなかったり、完全に欠損していることがあります。この異常は、単体で発生することもあれば、ポーランド症候群でみられるように手、胸、または乳頭の様々な異常とともに発生することもあります。このようなタイプの筋肉の病気は、大半が原因不明です。
プルーンベリー症候群でみられるように、腹筋が1層以上欠損していることがあります。この病気では、腹筋の層が欠損していることにより、腹壁の見た目にしわができたり、男児で精巣が陰嚢の中へと降りていかなかったり(停留精巣)、尿路の異常が発生したりします。プルーンベリー症候群の原因は不明です。
筋肉の異常の診断
出生前には、超音波検査
出生後には、身体診察
ときに遺伝子検査
出生前に、これらの異常を超音波検査で診断できることがあります。
出生後は、多くの異常を身体診察の際に特定することができます。
筋肉の先天異常に遺伝子の異常が関与している可能性があるため、患児は遺伝専門医の診察を受けるべきです。遺伝専門医とは、遺伝学(遺伝子と、特定の性質や形質が親から子にどのように受け継がれるかについての科学)を専門とする医師です。乳児の血液サンプルの遺伝子検査を行い、染色体や遺伝子の異常がないか調べることがあります。この検査は、特定の遺伝性疾患が原因なのかどうかを判断し、他の原因を否定するために役立ちます。
筋肉の異常の治療
手術が行われる可能性がある
筋肉の異常の治療法は筋肉の異常の重症度によって異なります。患児に再建手術が必要になることもあります。
遺伝子の異常が見つかった場合、患者がいる家族には遺伝カウンセリングが有益なことがあります。