正常な新生児には、母親の乳首を見つけ出して母乳を得るのに役立つ反射神経がみられます。それらは探索反射と吸啜(きゅうてつ)反射といいます。探索反射とは、口や口唇の片側をさわられると、さわられた方に頭を向け、口を開ける反応です。この反射により新生児は乳首を見つけることができます。吸啜反射とは、口の中に物(おしゃぶりなど)を入れられると、すぐにそれを吸い始める反応です。これらの反射が起こるおかげで、すぐに授乳を始めることができ、そのため医師は、産後すぐに新生児を母親の胸の前に置くように勧めます。そのようにしなかった場合でも、少なくとも出生後4時間以内には授乳を開始します。人工乳による授乳も1つの選択肢です。
ほとんどの乳児はミルクと一緒に空気を飲み込みます。乳児は自分でげっぷができないため親が手助けする必要があります。乳児の体をまっすぐに立てて親の胸によりかからせるように抱き、頭を親の肩にのせて背中をやさしくたたきます。背中をたたかれることと肩によりかかる圧力とに促されて、音が聞こえるほどのげっぷが出ます。このときに少量のミルクを一緒に吐き出すこともあります。
固形食を始める時期は、その乳児にとっての必要性と受け入れる準備の度合いによって決まります。世界保健機関(WHO)と米国小児科学会(AAP)は、およそ6カ月間は授乳 のみとし、それから固形食を開始する方針を推奨しています。ほかにも、母乳や人工乳での授乳を続けながら生後4カ月から6カ月の間に固形食を開始する方針を推奨している組織もあります。生後4カ月になるまでは、栄養面で固形食は必要ありません。
授乳と食事に関する問題
乳児が摂取する栄養の量は日によって異なります。そうした小さな変動はよくあることですので、病気の徴候がみられたり、発育(特に体重のパーセンタイル)に変化([図「乳児の体長・体重チャート」を参照)がみられたりした場合にだけ、心配するようにすべきです。
新生児は出生後すぐに少し体重が減るのが正常ですが、生後1週間で出生体重の5~7%を超える体重減少がみられた新生児は低栄養の状態にあります。母乳で育っている新生児は約2週間、人工乳で育っている新生児は約10日で出生体重に戻るはずです。その後、生後数カ月間は、1日20~30g体重が増えなくてはなりません。生後約5カ月には、体重が2倍になっていなければなりません。