幼児における食事面の問題

執筆者:Stephen Brian Sulkes, MD, Golisano Children’s Hospital at Strong, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 2021年 8月
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やさしくわかる病気事典

    食事面の問題は、元をたどれば行動面の問題である場合があります。小児に偏食があったり、あまり食べなかったり、食べ過ぎたり、身体によくないものを食べたり、好き嫌いがあったり(回避・制限性食物摂取症も参照)、食事中に不適切な行動(食べたくないものをこっそりペットに食べさせる、食べものを投げる、わざと床に落とすなど)をとったりすると、幼児をもつ親は心配しがちです。ほとんどの食事面の問題は、小児の成長や発達に影響を及ぼすほど長くは続きません。小児の成長速度が心配するほどのものかどうかは、成長曲線で確かめることができます。子どもが以下の様な場合には親は医師に相談する必要があります。

    • 外見や体重に関して繰り返し不満を漏らす

    • 成長と体重増加が予想される年齢で体重が減るか、体重が増えなくなる

    • 通常より速い割合で体重が増える

    青年期以前に神経性やせ症神経性過食症などの摂食障害が起こることは、通常ありません。

    小児における行動面の問題の概要も参照のこと。)

    摂食不足

    通常、1歳前後では成長速度が遅くなって、小児の食欲は減退します。しかし、親や養育者が子どもに食べることを無理強いしたり、子どもの食欲や食習慣を心配していることを表に出しすぎたりすると、食事面の問題が起こることがあります。食事面の問題がある子どもに親が食べることを無理強いしたりすると、子どもにとってはこれが親の関心を余計に引くことにつながり(つまり逆にご褒美になってしまう)、子どもの食事拒否を強化してしまう可能性があります。親が無理に食べさせようとすると吐く小児もいるでしょう。

    食事時間やその前後の緊張感や否定的な感情を抑えると、役立つかもしれません。小児の前に食物を置いて20~30分経ったら何も言わずに下げるようにすると、感情的な場面を作らずに済みます。出された食事の中から小児が好きなものを食べられるようにするとよいでしょう。また、午前と午後の決まった時間におやつを与えましょう。それ以外の時間帯には、水以外の飲食物を与えないようにします。幼児には、1日に3度の食事と2~3回のおやつを与えなければなりません。食事の時間はほかの家族の食事時間に合わせるようにします。テレビやペットのように注意をそらすものは避けます。食事中は座っているように促します。床に投げた食べものやわざと落とした食べものは、どんなものでも子どもに片付けを手伝わせるようにします。このようなやり方を使って、小児の食欲、食べた量、必要な栄養量のバランスをとります。

    知っていますか?

    • 子どもの食習慣に関する親の過剰な心配によって、食事面の問題が生じる可能性があります。

    過食

    過食も多くの要因によって引き起こされる問題です。 過食は小児期の肥満につながりかねません。いったん形成された脂肪細胞はなくなることがありません。このため、体重が正常の小児と比べて肥満の小児は、成人になって肥満になりやすくなります。 小児期の肥満は成人期の肥満につながりやすいため、予防や治療を行うべきです。

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