上衣腫

執筆者:Renee Gresh, DO, Nemours A.I. duPont Hospital for Children
レビュー/改訂 2021年 6月
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上衣腫は、脳内にある空間(脳室)の内面を覆っている細胞から発生する腫瘍で、腫瘍の増殖はゆっくりとしています。

  • 上衣腫の原因は不明です。

  • 主な症状は、嘔吐、ぼんやりする、平衡障害です。

  • 診断は画像検査と生検によって下されます。

  • 予後(経過の見通し)は、小児の年齢と、がんがどの程度除去できたかによります。

  • 治療法としては、手術、化学療法、放射線療法などがあります。

上衣腫は小児の脳腫瘍の中で発生率が3番目に高く、全体の10%を占めます。上衣腫と診断される小児の大多数が8歳未満です。約3分の1が3歳未満の小児に発生しています。

大半の上衣腫は、頭蓋骨底部の脳の後部(後頭蓋窩と呼ばれます)、またはその近くに発生します。この領域には(協調運動や平衡感覚を制御する)小脳や、(呼吸などの生命維持に必要な体の機能を制御する)脳幹が含まれています。上衣腫は脳幹に広がる傾向があります。上衣腫が脊髄に発生する場合もあります。

上衣腫の症状

多くの場合、頭蓋内圧の上昇から上衣腫の最初の症状が生じます。最初の症状は、頭痛、嘔吐、ぼんやりするなどです。乳児では月齢相応の発達段階に到達しない場合があります。乳児が怒りっぽくなったり、食欲がなくなったりすることもあります。気分や性格が変わることもあれば、集中力が低下することもあります。小児の平衡感覚や協調運動、歩行に障害がみられるようになります。なかには、けいれん発作を起こす小児もいます。

上衣腫が脊髄に生じると、背部痛が起こる場合があり、尿失禁や便失禁がみられる場合もあります。

上衣腫の診断

  • MRI検査と生検

上衣腫の診断はMRI検査の結果に基づいて下されます。腫瘍がみつかった場合は、サンプルが採取され、調べるために検査室に送られます(生検)。

上衣腫の予後(経過の見通し)

患児がどれだけよくなるかは、年齢と切除できた腫瘍の量によって異なります。

生き延びた小児には、脳、脊髄、神経に問題が起きるリスクがあります。

上衣腫の治療

  • 手術、放射線療法、化学療法

がん治療の原則も参照のこと。)

初めの治療では、できるだけ安全に、できるだけ多くの腫瘍が手術で切除されます。

放射線療法により生存率が高まります。通常は手術後に行われます。

化学療法を行っても生存率は増加しないと考えられますが、一部の小児では手術前に腫瘍を小さくするのに役立ちます。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国がん協会:あなたの子どもががんと診断されたら(If Your Child Is Diagnosed With Cancer):がんになった小児の親や家族向けの情報源で、診断直後に生じる問題や疑問にどう対処するかについて情報を提供している

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