陣痛と分娩の概要

執筆者:Julie S. Moldenhauer, MD, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2024年 3月
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やさしくわかる病気事典

陣痛および分娩の経過は人によって異なりますが、ほとんどの場合、一般的な経過をたどります。妊娠したら出産に向けて体にどのような変化が起こり、妊婦のサポートのためにどのような対策が行われるかについて、大体のことを知っておくとよいでしょう。また、子どものもう一人の親が出産に立ち会うのか、どこで出産するのかといったこともあらかじめ決めておく必要があります。

出産のための環境には色々あります。病院、出産センター、自宅での出産という選択肢があります。

病院での出産には、陣痛や分娩中、分娩後に予期しない合併症が発生した場合に医療スタッフが直ちに対応し、医療機器も直ちに使用できるという利点があります。発生しうる合併症の例としては、分娩時の過度の子宮出血常位胎盤早期剥離胎児ジストレス肩甲難産(胎児の肩が母体の恥骨にひっかかり、胎児が産道で動けなくなる)、緊急帝王切開の必要性、新生児の異常やジストレスの徴候などがあります。

出産センターは通常、病院内または病院の近くにあり、必要に応じて救急医療が受けられるようになっています。

自宅出産を選択する女性もおり、多くの国でこの選択はよくみられます。もし自宅出産を計画している場合は、病院または出産センターでの出産を選択する妊婦と同レベルの、医療専門職による出生前ケアを必ず受けられるようにする必要があります。陣痛の開始が近づく頃には、合併症がないこと、または合併症のリスクが増加しないことも確認すべきです。自宅出産には、訓練を受けた有資格の医療専門職が立ち会い、病院との取り決めを行って合併症が発生した場合に30分以内に病院に到着できる計画を立てておくべきです。一部の国では、有資格の医療専門職(助産師など)がいないこともしばしばあり、分娩には有資格ではない昔ながらの分娩介助者が立ち会います。

多くの女性にとって、自身のパートナーやドゥーラなどの周産期の支援を専門とする人などが分娩に付き添うことが助けとなります。精神的な支えや励ましがあると不安感が和らぎます。

出産の場所や用いる鎮痛の種類に関してどのような選択をするかにかかわらず、例えば出産について書かれたものを読む、他の女性と話す、マタニティークラスに参加するなどによって、出産時にどのようなことが起こるか知っておくと、陣痛や分娩に備える上で役立ちます。マタニティークラスでは、正常な分娩やモニタリング機器、起こりうる合併症に関する情報の提供などが行われ、親となる人は陣痛と分娩に向けた準備をすることができます。

陣痛・分娩の合併症も参照のこと。)

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