性器のかゆみは、腟または外性器を含む性器周辺(外陰部)に及ぶことがあります。かゆみとは、掻かないと治まらないように感じられる不快な感覚です。
多くの女性はときに短期間、性器のかゆみを感じますが、治療しなくても治まります。かゆみが問題とみなされるのは、かゆみが続く場合や、強いかゆみがある場合、繰り返し起こる場合、おりものを伴う場合のみです。
性器のかゆみの原因
性器のかゆみの評価
医師は通常、症状について尋ね、性器周辺と腟を診察することでかゆみの原因を特定することができます。
警戒すべき徴候
痛みを伴ったり、匂いや性状に異常のあるおりものを伴わない限り、性器のかゆみについて警戒すべき徴候はありません。つまり、警戒すべき徴候は骨盤痛の警戒すべき徴候やおりものの警戒すべき徴候と同じです。
受診のタイミング
かゆみが数日以上続く、かゆみが強い、感染症を示唆する他の症状(痛みやおりものなど)が発生した場合は、医師の診察を受ける必要があります。
医師が行うこと
性器のかゆみの治療
可能であれば、性器のかゆみを引き起こしている病気を是正または治療します。一般的な対策により、症状を和らげることができます。
一般的な対策
下着の交換と入浴またはシャワーを1日1回行うことで、腟と性器周辺を清潔に保ち、刺激を受けにくい状態にすることができます。入浴やシャワーをこれよりも頻繁にすると、腟と性器周辺が乾燥しすぎてかゆみが強まることがあります。コーンスターチで作られた無香料のボディパウダーの使用は、性器周辺を乾燥した状態に保つのに役立ちます。タルクのパウダーは使用すべきではありません。温水のみで性器周辺を洗浄することが勧められます。石けんが必要であれば、アレルギーを引き起こさない石けんを使用すべきです。クリーム、女性用衛生スプレー、腟洗浄器などの製品を腟周辺に使用すべきではありません。このような一般的な対策により、かゆみを引き起こす刺激物との接触を最小限に抑えます。
かゆみが続く場合は、坐浴が役立つことがあります。坐浴の場合には、座った状態で性器と肛門の周辺だけを水につけます。坐浴には少しだけお湯を張った浴槽や大きなたらいが使用できます。
医薬品(処方されたクリームなど)や特定のブランドのコンドームによって刺激感とかゆみが生じていると考えられるときは、使用を中止すべきです。処方された製品の使用を中止する前に、主治医に相談すべきです。
薬剤
性器周辺にヒドロコルチゾンのような弱いコルチコステロイドクリームを塗ると、一時的にかゆみが和らぐことがあります。クリームは腟内に入れるべきではなく、短期間だけの使用にすべきです。
かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬の内服も一時的に役立ちます。抗ヒスタミン薬は眠気を引き起こす作用もあるため、症状のせいで睡眠が妨げられている場合に有用となります。
かゆみおよび分泌物の原因となる腟感染症には、抗菌薬あるいは抗真菌薬を内服するか腟に挿入する必要があります。
硬化性苔癬の治療には、効き目の強いコルチコステロイド(クロベタゾールなど)を含むクリームや軟膏が処方されます。
要点
性器のかゆみが問題とみなされるのは、かゆみが続く場合や、強いかゆみがある場合、繰り返し起こる場合、痛みを伴う、または匂いや性状に異常のあるおりものを伴う場合のみで、このような場合には感染症が示唆されます。
性器周辺を清潔にして乾燥を保ち、刺激を与える製品を使用しないことが役立ちます。
ときに軽いコルチコステロイドクリームでかゆみが一時的に和らぐことがあります。
腟感染症によりかゆみとおりものが生じている場合は、抗菌薬または抗真菌薬の内服または腟への挿入により治療します。