陣痛および分娩の経過は人によって異なりますが、ほとんどの場合、一般的な経過をたどります。したがって妊娠したら出産に向けて体にどのような変化が起こり、妊婦のサポートのためにどのような対策が行われるかについて、大体のことを知っておくとよいでしょう。また、子どもの父親もしくはパートナーが出産に立ち会うか、どこで出産するかといったこともあらかじめ決めておく必要があります。
出産にパートナーの立ち会いを希望する人もいます。パートナーの励ましや精神的な支えによって、妊婦がリラックスできます。さらに、出産という貴重な経験を共有することで家族のきずなが深まるなど、感情的・心理的な面でも恩恵があります。一方、妊婦が自分だけの方が分娩に臨みやすいと考えて分娩時の立ち会いを希望しない場合や、パートナーの方が立ち会うことを望まない場合もあります。妊婦とパートナーの双方が、出産の全過程を学ぶことができるマタニティークラスも開かれています。
米国では病院で出産する人がほとんどですが、なかには自宅での出産を望む人もいます。しかし、出産前に良好な出生前ケアを受けてきた場合や、問題が生じる徴候がまったくみられない場合であっても、分娩中や分娩直後には予期しない合併症が起こりえます。このため、専門家の大多数は自宅での出産を勧めていません。入院時の規則が少ない家庭的な環境(例えば、面会者の人数や面会時間に制限がないなど)を希望する人は、出産センターでの出産を選択することもできます。出産センターでは堅苦しくなく家庭的な出産を経験できる上、自宅出産と比べてはるかに安全です。出産センターは病院に付属していることもあれば、近隣の病院と提携していることもあります。したがって出産センターは、必要が生じた際には医療スタッフや緊急時の設備を用意することができ、病院と同じ機能を備えています。分娩時に合併症が起きた場合には、直ちに出産センターから病院へ搬送されます。
病院によっては陣痛から退院までを同じ部屋で過ごすことのできる居室型の個室があります。このような個室は、陣痛(labor)・分娩(delivery)・回復(recovery)・産後(postpartum)の頭文字を取ってLDRP室と呼ばれています。
選択にかかわらず、例えば出産について書かれたものを読む、他の女性と話す、マタニティークラスに参加するなどによって、出産時にどのようなことが起こるか知っておくと、陣痛や分娩に備える上で役立ちます。
(陣痛・分娩の合併症も参照のこと。)