女性生殖器系への加齢の影響

執筆者:Jessica E. McLaughlin, MD, Medical University of South Carolina
レビュー/改訂 2022年 4月
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    閉経が近づいてくると、女性生殖器に急速な変化がみられるようになります。(閉経は最後の月経から丸1年経過した状態と定義されます。)月経周期が止まり、卵巣からのエストロゲンの分泌も止まります。

    閉経後には、小陰唇(腟と尿道の開口部を囲んでいる組織)、陰核、腟、尿道の組織が薄くなります(萎縮)。これに伴い、腟の慢性的な刺激感、乾燥が生じることもあります。おりもの(帯下)が出たり尿路感染症が起こる可能性が高くなります。閉経後には子宮、卵管、卵巣も小さくなります。

    年齢を重ねていくと、筋肉や結合組織の量が減少していきますが、膀胱、子宮、腟、直腸などの臓器を支えている筋肉、靱帯、その他の組織も減少します。その結果、支えられなくなった臓器が下垂することがあり(臓器脱)、ときに骨盤内の圧迫感または充満感を引き起こします。腟口から突き出た状態になることがあり、排尿困難または排尿や排便をコントロールできなくなる状態(失禁)になります。出産経験のある女性では、このような異常が起きる可能性が高くなりますが、どの女性にも起こる可能性があります。

    知っていますか?

    • 閉経してから性交をより楽しむようになる女性もいます。

    乳管を刺激するエストロゲンの分泌量が減少するため、乳房は小さくなります。さらに、乳房を支えている結合組織も減少します。支えがなくなることは乳房の形が変化する一因となります。また、乳房の線維組織が脂肪に置き換わるため、乳房の張りが失われます。

    加齢に伴う生殖器の変化によって閉経後の性行為や性的な快感が妨げられることはありません。しかしながら、閉経後の腟の乾燥は性行為中の痛みを引き起こすことがあり、性欲の低下を感じる女性もいます。

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