ビタミン欠乏性貧血

(巨赤芽球性貧血)

執筆者:Evan M. Braunstein, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine
レビュー/改訂 2022年 7月
プロフェッショナル版を見る

ビタミン欠乏性貧血は、ビタミンB12や葉酸の不足または欠乏が原因です。

  • 脱力感や息切れを覚えたり、顔色が青白くなったりすることがあります。

  • 神経が機能不全を起こすことがあります。

  • 血液検査でビタミン欠乏性貧血を示す異常細胞が認められることがあります。

  • 不足しているビタミンを補給します。

貧血の概要も参照のこと。)

ビタミンB12や葉酸の欠乏は、巨赤芽球性貧血を引き起こします。巨赤芽球性貧血では、外形が大きく、異常となった赤血球(巨赤芽球)が骨髄でつくられます。

ビタミンB12欠乏症葉酸欠乏症は、ほとんどの場合、これらのビタミン類が食事に欠けていたり、消化管から十分吸収されなかったりすることが原因で生じます。悪性貧血はビタミンB12欠乏症の一種であり、ビタミンB12の吸収に影響を及ぼす自己免疫疾患によって引き起こされます。葉酸の欠乏は、ときに、がんの治療に使用される薬が原因で起こります。

ビタミン欠乏性貧血の症状

ビタミンB12や葉酸の欠乏による貧血の症状はゆっくりと進行し、疲労、脱力感、蒼白など、別の原因による貧血でみられる症状に似ています。ビタミンB12の欠乏により、ピリピリとした痛みや感覚消失、筋力の低下などが起こり、体の不調に対して神経過敏になることもあります。重度のビタミンB12欠乏症では、錯乱を起こすこともあります。高齢者では、この症状のために、ビタミンB12欠乏症による貧血が認知症と間違えられることがあります。

ビタミン欠乏性貧血の診断

  • 血液検査

血液検査で貧血が認められると、ビタミンB12や葉酸の欠乏が原因かどうかを調べる検査が行われます。顕微鏡で血液サンプルを調べて大きな(大球性)赤血球や多葉性の(過分葉)好中球(白血球の一種)がみられる場合は、ビタミンB12や葉酸の欠乏による貧血が疑われます。白血球や血小板が減少することもあり、これは特にビタミン欠乏性貧血が長期間にわたる場合によくみられます。

血液中のビタミンB12や葉酸の値を測定するとともに、ビタミンB12欠乏症の原因を調べる別の検査を行う場合もあります。

ビタミン欠乏性貧血の治療

  • ビタミンB12や葉酸の補給

ビタミンB12や葉酸の欠乏による貧血の治療では、欠乏しているビタミンを補給します。

一般的にビタミンB12が注射により投与されますが、特に欠乏症が重度であったり、消化管からビタミンが吸収されないことが原因であったりする場合に多く投与されます。まず、血液中のビタミンB12の値が正常に戻るまで、1日1回または週1回の注射を数週間行います。正常に戻った後は月1回の注射を行います。ビタミンB12は、スプレー式点鼻薬、舌下錠、経口錠剤などで毎日とることも可能です。ビタミンB12の欠乏による貧血では、生涯にわたりビタミンB12サプリメントの服用が必要になる場合があります。

葉酸は、1日1回1錠の錠剤で服用できます。

quizzes_lightbulb_red
医学知識をチェックTake a Quiz!
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS