溶血性尿毒症症候群(HUS)は、全身に小さな血栓ができて、脳、心臓、腎臓などの重要臓器への血液の流れを妨げる重篤な病気で、通常は小児に発生します。
症状は血栓ができた場所に関係します。
診断は症状と血液検査に基づいて行います。
溶血性尿毒症症候群の治療では、重要な身体機能の補助と場合により血液透析を行うことがあり、一部の患者ではエクリズマブという薬が有益になる場合もあります。
溶血性尿毒症症候群はまれな病気で、多くの小さな血のかたまり(血栓)が突然全身にできます。溶血性の意味は、赤血球が分解されること、尿毒症の意味は、腎障害によって尿素(老廃物)が残り、血液中に蓄積されることです。溶血性尿毒症症候群は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と関連がありますが、溶血性尿毒症症候群は小児に多く発生し、腎不全を引き起こすことが多いのに対し、TTPは成人でより多くみられます。
溶血性尿毒症症候群でできる小さな血栓は、全身の毛細血管を詰まらせますが、特に脳、心臓、腎臓の血管を詰まらせます。血管が詰まると組織が損傷を受けるとともに、赤血球が分裂を起こし、部分的に詰まった血管を通り抜けます。血栓の形成は、異常に大量の血小板が消費されることも意味するため、血液中の血小板数が急激に減少することになります(血小板減少症)。
血小板は、骨髄でつくられて血液中を循環している細胞で、血液凝固を助けます。血小板が過度に少なくなった状態を血小板減少症といいます。
溶血性尿毒症症候群は、細菌の大腸菌O157:H7やその他の毒素生産性細菌に汚染された食物を摂取したことに起因する腸管感染症の後に通常みられます。
溶血性尿毒症症候群の症状
溶血性尿毒症症候群の診断
血小板数と血液凝固を測定する血液検査
腎機能を調べる血液と尿の検査
血小板数の減少や出血を引き起こす他の病気を否定するための検査
体調不良の続いている小児、または頻度は下がりますが特定の薬の投与を受けている人に、血小板数が少ないことが確認されたときに、溶血性尿毒症症候群が疑われます。
溶血性尿毒症症候群の診断に特化した血液検査はありませんが、症状と併せて診断に役立つ血液検査がいくつか行われます。そのような血液検査には、多くの場合、血算、赤血球が破壊されていることを証明する検査(血液サンプルの顕微鏡検査[血液塗抹検査]など)、腎臓がどの程度機能しているか調べる検査が含まれます。