POEMS症候群

(クロウ-深瀬症候群;高月病;PEP症候群)

執筆者:Jennifer M. Barker, MD, Children's Hospital Colorado, Division of Pediatric Endocrinology
レビュー/改訂 2021年 3月
プロフェッショナル版を見る

POEMS症候群は、複数の内分泌腺に機能障害がみられるまれな病気です。

多腺性機能不全症候群も参照のこと。)

内分泌腺とは、1種類以上の特定のホルモンを分泌する器官です。POEMS症候群は、血液中を循環している抗体(免疫グロブリン)が臓器(特に内分泌腺)に損傷を与えることにより引き起こされると考えられています。抗体は形質細胞と呼ばれる細胞から生産されます。ある種の形質細胞の病気では、異常な形質細胞が増殖して過剰な量の抗体を生産し、臓器に損傷を与えます。

POEMS症候群は、この患者に一般的にみられる徴候と症状に基づいて命名されています。

  • Polyneuropathy(多発神経障害[神経の損傷])

  • Organomegaly(臓器腫大[肝臓、脾臓、リンパ節の腫大])

  • Endocrinopathy(内分泌障害[ホルモン分泌量の異常])

  • Monoclonal gammopathy(単クローン性免疫グロブリン血症[血中に異常な抗体が現れる])

  • Skin changes(皮膚変化)

患者には以下のような異常がみられることがあります。

体液の貯留が、脚や腹部のほか、肺を覆う膜(胸膜)の層の間または視神経の近くに生じることがあります。胸膜で囲まれた空間に体液が貯留すると、呼吸困難や胸痛が引き起こされます。視神経近くに貯留した体液は、視神経を圧迫し視力障害を引き起こします。発熱を伴うこともあります。

POEMS症候群の診断は、医師による身体診察で特定の症状や所見がみられることと、抗体やホルモンの値に特定の臨床検査値異常がみられることに基づいて下されます。

POEMS症候群の治療

  • 放射線療法

  • 化学療法

治療としては、放射線療法と化学療法により異常な形質細胞の数を減少させ、その後ときに幹細胞移植が行われることもあります。診断後の5年生存率は約60%です。

quizzes_lightbulb_red
医学知識をチェックTake a Quiz!
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS