POEMS症候群は、複数の内分泌腺に機能障害がみられるまれな病気です。
(多腺性機能不全症候群も参照のこと。)
内分泌腺とは、1種類以上の特定のホルモンを分泌する器官です。POEMS症候群は、血液中を循環している抗体(免疫グロブリン)が臓器(特に内分泌腺)に損傷を与えることにより引き起こされると考えられています。抗体は形質細胞と呼ばれる細胞から生産されます。ある種の形質細胞の病気では、異常な形質細胞が増殖して過剰な量の抗体を生産し、臓器に損傷を与えます。
POEMS症候群は、この患者に一般的にみられる徴候と症状に基づいて命名されています。
Polyneuropathy(多発神経障害[神経の損傷])
Organomegaly(臓器腫大[肝臓、脾臓、リンパ節の腫大])
Endocrinopathy(内分泌障害[ホルモン分泌量の異常])
Monoclonal gammopathy(単クローン性免疫グロブリン血症[血中に異常な抗体が現れる])
Skin changes(皮膚変化)
患者には以下のような異常がみられることがあります。
肝臓の腫れ
リンパ節の腫れ
テストステロン低値(性腺機能低下症)
2型糖尿病
甲状腺ホルモン低値(甲状腺機能低下症)
副甲状腺ホルモン高値(副甲状腺機能亢進症)
副腎の機能低下(アジソン病)
一部の抗体の過剰産生(免疫グロブリン血症)
皮膚の色が濃くなり分厚くなる、多毛、小さな鮮紅色の斑点(血管腫)などの皮膚異常
骨破壊部位
体液の貯留が、脚や腹部のほか、肺を覆う膜(胸膜)の層の間または視神経の近くに生じることがあります。胸膜で囲まれた空間に体液が貯留すると、呼吸困難や胸痛が引き起こされます。視神経近くに貯留した体液は、視神経を圧迫し視力障害を引き起こします。発熱を伴うこともあります。
POEMS症候群の診断は、医師による身体診察で特定の症状や所見がみられることと、抗体やホルモンの値に特定の臨床検査値異常がみられることに基づいて下されます。
POEMS症候群の治療
放射線療法
化学療法
治療としては、放射線療法と化学療法により異常な形質細胞の数を減少させ、その後ときに幹細胞移植が行われることもあります。診断後の5年生存率は約60%です。