Consumer edition active

銅欠乏症

執筆者:Larry E. Johnson, MD, PhD, University of Arkansas for Medical Sciences
レビュー/改訂 2023年 7月 | 修正済み 2023年 8月
v767424_ja
プロフェッショナル版を見る
欠乏症は健康な人ではまれで、ほかの健康上の問題があるか遺伝子異常を受け継いだ乳児に最も多くみられます。

ミネラルの概要も参照のこと。)

体内ののほとんどは肝臓、骨、筋肉に存在していますが、体のすべての組織に微量のが存在します。肝臓は、余分なを体内から取り除くために胆汁中に排泄します。は様々な酵素の構成要素であり、そうした酵素には以下の作用に必要なものもあります。

  • エネルギーの生産

  • 赤血球、骨、結合組織(組織や臓器をつなぎ合わせる)の形成

  • 抗酸化作用(細胞の正常な活動で生じる化学反応しやすい副産物である、フリーラジカルによる損傷から細胞を保護するのに役立つ)

欠乏症は、後天的にまたは遺伝により生じる場合があります。これは健康な人ではめったにみられず、以下に当てはまる乳児に最も多く起こります。

  • 早産児

  • 重度の低栄養からの回復中

  • 持続性の下痢がある

男の乳児の中には、欠乏症を起こす遺伝子異常を受け継いでいる例もあります。この病気はメンケス症候群と呼ばれています。

成人では、以下の原因で欠乏症が生じることがあります。

  • 栄養素の吸収を阻害する病気(セリアック病、クローン病、嚢胞性線維症、熱帯性スプルーなどの、吸収不良を引き起こす病気

  • 減量手術(肥満外科手術)

  • 亜鉛のとりすぎ(の吸収が低下する)

欠乏症の症状

欠乏症の症状には、赤血球数の減少(貧血)による疲労および筋力低下のほか、ときに白血球数の減少により感染リスクが上昇することなどが挙げられます。ときに、骨粗しょう症や神経の損傷が発生する場合もあります。神経の損傷によって、手足にピリピリする感覚や感覚消失が起こることがあります。筋力の低下が感じられることもあります。錯乱、易怒性、軽度の抑うつが生じる場合もあります。協調運動障害がみられます。

メンケス症候群は遺伝性の病気ですが、重度の知的障害、嘔吐、下痢を引き起こします。皮膚の色素が欠乏し、毛髪が薄いか、硬いか、またはちぢれています。骨が弱くなって奇形が生じることがあり、動脈がもろく、破裂することもあります。

欠乏症の診断

  • 血液検査

欠乏症は通常、症状に加えて、とセルロプラスミン(血流に乗ってを運ぶタンパク質)の血中濃度低下を検出する血液検査の結果に基づいて診断されます。

早期に欠乏症の診断と治療が行われれば、よりよい結果が得られると考えられます。

欠乏症の治療

  • 原因の治療

  • 銅のサプリメントまたは注射

欠乏症の原因を治療し、銅のサプリメントを経口投与します。重度の欠乏症には、静脈から銅を補給する治療を行います。

メンケス症候群の乳児には、銅を皮下注射します。治療を行っても、メンケス症候群の小児は通常10歳になるまでに死亡します。

医学知識をチェックTake a Quiz!
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS