尿管損傷の大半は手術中に発生する。尿管損傷が最も起きやすい手技としては,尿管鏡検査,子宮摘出術,大腸の低位前方切除術,腹部動脈瘤修復術などがある。受傷機転としては,手術中の意図しない結紮,断裂,引き抜き損傷,挫滅,脈管遮断,捻転,電気凝固などがある。
医原性以外の尿管損傷は,泌尿生殖器外傷全体の約1~3%に過ぎない(1)。通常は銃創が原因であり,まれに刺創に起因する。小児では,引き抜き損傷の頻度が高く腎盂尿管移行部で生じる。合併症として,腹腔内または後腹膜腔内への尿漏出;腎周囲膿瘍;瘻孔の形成(例,尿管腟瘻,尿管皮膚瘻);尿管狭窄,尿管閉塞,またはその両方などがみられる。
総論の参考文献
1.Coccolini F, Moore EE, Kluger Y, et al.Kidney and uro-trauma: WSES-AAST guidelines. World J Emerg Surg.2019;14:54.Published 2019 Dec 2.doi:10.1186/s13017-019-0274-x
尿管外傷の診断
画像検査,試験開腹,またはその両方
診断では病歴から尿管損傷を疑うが,症状が非特異的であり,全患者の30%以上で血尿を認めないことから,強く疑うことが必要である。診断は画像検査(例,造影CT(遅延画像を含む),排泄性尿路造影,逆行性尿道造影),試験開腹,またはその両方により確定される。発熱,側腹部圧痛,遷延性のイレウス,尿漏出,閉塞,および敗血症は,潜在的損傷(occult injury)ではないとすれば,最もよくみられる遅延徴候である。尿管損傷を示唆する術中所見としては,尿の流出,尿管の挫傷,蠕動の低下などがある。色素(例,インジゴカルミン,メチレンブルー)を静脈内または尿管内に注射して,色素が尿管を通過していくか術野中に漏出する様子を観察することも,診断の参考になることがある。
尿管外傷の治療
軽傷例には経皮的腎瘻術または尿管ステント留置術
重傷例には外科的修復
全ての尿管損傷に介入が必要である。軽傷例(例,挫傷または部分断裂)には,経皮的腎瘻チューブによる尿路変向術,尿管ステント留置術(逆行性または順行性),またはその両方で十分である場合が多い(1, 2)。部分裂傷などの軽微な医原性の術中尿管損傷は,一次閉鎖で管理することができる。縫合糸による意図しない結紮の場合は,抜糸で十分に対処できることがある。全ての修復部にステントを留置すべきである。
重大な損傷(例,完全断裂,引き抜き損傷)には,典型的には局在と範囲に応じて開腹手術または低侵襲手術(腹腔鏡下またはロボット支援下)による再建手技が必要である。具体的な手技としては,膀胱尿管新吻合術,一期的な尿管吻合術,膀胱前壁からのフラップの作製(Boari法),回腸間置術,最後の手段としての自家移植術などがある。状態が不安定な患者では,ダメージコントロールのアプローチをとり,尿管の流路を一時的に確保して,根治的な管理は先延ばしにする。
治療に関する参考文献
1.Morey AF, Broghammer JA, Hollowell CMP, McKibben MJ, Souter L.Urotrauma Guideline 2020: AUA Guideline. J Urol.2021;205(1):30-35.doi:10.1097/JU.0000000000001408
2.Morey AF, Brandes S, Dugi DD 3rd, et al.Urotrauma: AUA guideline. J Urol.2014;192(2):327-335.doi:10.1016/j.juro.2014.05.004
要点
尿管損傷の大半は手術中に発生する。
外傷に起因する尿管損傷については,所見が非特異的であり血尿を認めないことが多いため,強く疑い続けることが必要である。
軽微な損傷は尿管ステントまたは腎瘻チューブで治療でき,重大な損傷は外科的修復で治療できる。



