PFAPA(アフタ性口内炎,咽頭炎,およびリンパ節炎を伴う周期熱)症候群は,典型的には2~5歳に発現する周期熱症候群であり,3~6日続く発熱発作,咽頭炎,アフタ性潰瘍,およびリンパ節腫脹を特徴とする。病因および病態生理は不明である。診断は臨床的に行う。治療には,グルココルチコイド,シメチジン,およびまれではあるが扁桃摘出術がありうる。
PFAPA症候群は小児において最もよくみられる周期熱症候群である。遺伝学的原因は確定していないが,本症候群は遺伝性発熱症候群に分類される傾向がある。典型的には小児期早期(2~5歳)に始まり男性で頻度が高い傾向がある。最近では成人でも認められている(1)。
発熱発作が3~6日続き,約28日毎に反復する。本症候群では,発熱,咽頭炎,アフタ性潰瘍,およびリンパ節腫脹のほか,疲労,悪寒,ならびにときに腹痛および頭痛が起こる。発作と発作の間は健康であり,成長は正常である。
総論の参考文献
1.Rigante D, Vitale A, Natale MF, et al: A comprehensive comparison between pediatric and adult patients with periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenopathy (PFAPA) syndrome.Clin Rheumatol 36(2):463–468, 2017.doi: 10.1007/s10067-016-3317-7
診断
臨床的評価(1)
PFAPA症候群の診断は以下に挙げる臨床所見に基づく:
最長5日間続き,定期的に発生する発熱発作が3回以上
咽頭炎に加えリンパ節腫脹またはアフタ性潰瘍
発作と発作の間は健康であり成長は正常
急性期反応物質(例,C反応性タンパク[CRP],赤沈)が発熱発作中に上昇するが発作と発作の間には上昇はみられない。好中球減少や他の症状(例,下痢,発疹,咳嗽)はない;このような症状がある場合は異なる疾患が示唆される。具体的には,周期性好中球減少症を除外する必要がある。
診断に関する参考文献
1.Cantarini L, Vitale A, Sicignano LL, et al: Diagnostic criteria for adult-onset periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis (PFAPA) syndrome.Front Immunol 8:1018, 2017.doi: 10.3389/fimmu.2017.01018
治療
ときにグルココルチコイド,シメチジン,および/または扁桃摘出術
PFAPA症候群の治療は任意であり,急性増悪の頻度および重症度に依存する;治療法としては,プレドニゾン(1~2mg/kg,経口)またはベタメタゾン(0.1~0.2mg/kg)の単回投与などのグルココルチコイド(発作開始時に投与すると発熱発作を数時間で劇的に停止させる)やシメチジン(20~40mg/kg,経口,1日1回)のほか,まれに扁桃摘出術もある。アナキンラ(anakinra)やカナキヌマブなど他の薬剤が難治例で試みられ,ある程度成功している。成長とともに後遺症なく自然治癒する傾向がある。