腸管重複症とは,管状構造物が腸管に付着して血液供給を共有している状態であり,その走行は消化管のそれに類似する。
(消化器系の先天異常の概要も参照のこと。)
重複はその長さに応じて嚢腫様または管状を呈する。
腸管重複症はまれで,出生10,000人当たり1例しか発生しない。男児により多く生じるようである(症例の60~80%)。約3分の1の患児で他の先天奇形の合併がみられる。
腸管重複症の病因は不明である。仮説として,再開通の異常,血管傷害,胎生期の憩室の遺残,partial twinningなどが提唱されている。
重複が最も生じやすい部位は空腸と回腸であり,これらに結腸,胃,十二指腸,および食道が続く。結腸重複症はしばしば泌尿生殖器奇形を合併する。腸管重複症は通常,生後2年以内に発症する。
重複は無症状のこともあれば,閉塞症状,慢性疼痛,消化管出血,または腹部腫瘤を引き起こすこともある。
腸管重複症が検出された場合,その治療は重複部を完全切除する手術である。口側の病変には,高度に熟練した内視鏡専門医がいる場合,内視鏡的アプローチを考慮することができる(1,2,3)。
総論の参考文献
1.Arantes V, Nery SR, Starling SV, et al: Duodenal duplication cyst causing acute recurrent pancreatitis, managed curatively by endoscopic marsupialization.Endoscopy 44(supplement 2):E117–E118, 2012. doi: 10.1055/s-0031-1291674.
2.Meier AH, Mellinger JD: Endoscopic management of a duodenal duplication cyst.J Pediatr Surg 47:e33–e35, 2012. doi: 10.1016/j.jpedsurg.2012.07.035.
3.Ballehaninna UK, Nguyen T, Burjonrappa SC: Laparoscopic resection of antenatally identified duodenal duplication cyst.JSLS 17:454–458, 2013. doi: 10.4293/108680813X13693422521151.