結膜および強膜疾患の概要

執筆者:Zeba A. Syed, MD, Wills Eye Hospital
レビュー/改訂 2023年 4月
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    結膜は,眼瞼の裏面を覆っており(瞼板結膜または眼瞼結膜),眼瞼と眼球との間隙に達し(円蓋部結膜),そこで折り返して強膜を超えて角膜まで広がっている(眼球結膜)。結膜は涙液層の維持に関わり,異物および感染から眼を保護している。

    強膜は,白色で厚い球状の密性結合組織で,眼球の外壁をなし,その形を保持している。強膜は,前方では角膜輪部で角膜と融合し,後方では視神経が眼球を出る部分で髄膜に移行する。厚さは一様ではなく,前方は0.83mm,後方は1mmと幅がある。また,赤道部は0.43mm,筋肉の下側では0.3mmであり,ここが最も薄い箇所である。

    上強膜は結膜と強膜の間の血管に富む薄い組織である。

    最も頻度が高い疾患は,感染性または炎症性である(例,結膜炎上強膜炎強膜炎)。結膜炎は急性のこともあれば慢性のこともあり,原因として感染性,アレルギー性,または刺激性がある。上強膜炎および強膜炎は通常免疫を介した疾患に由来するが,強膜炎では感染の可能性もある。上強膜炎は通常視力を脅かすことはないが,強膜炎は視力および眼を破壊しうる。結膜炎の重大な症状(例,結膜充血)は類似している。早期の正確な診断が重要である。

    結膜疾患における選択的眼所見

    眼球結膜の浮腫により,結膜はびまん性に半透明かつ青みを呈し肥厚する。結膜の膨隆を伴う著しい浮腫は,しばしば結膜突出を生じ,結膜浮腫として知られる。

    眼瞼結膜の浮腫(アレルギー性結膜炎に典型的)では,細かく微小な隆起(乳頭)を生じ,眼瞼結膜がビロード状の外観を呈する。

    結膜におけるリンパ濾胞の過形成は,ウイルス性結膜炎またはクラミジア結膜炎で生じうる。中心部が蒼白な小隆起として現れ,敷石状の外観を呈する。下眼瞼結膜に最もよくみられる。

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