感染性ぶどう膜炎

執筆者:Kara C. LaMattina, MD, Boston University School of Medicine
Reviewed BySunir J. Garg, MD, FACS, Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 5月
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いくつかの感染症がぶどう膜炎を起こす(ぶどう膜炎の原因となる感染症の表を参照)。最も頻度が高いものとしては,トキソプラズマ症単純ヘルペスウイルス(HSV),および水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)がある。病原体毎にぶどう膜の異なる部位を侵す。

ぶどう膜炎の概要も参照のこと。)

表&コラム
表&コラム

トキソプラズマ症

トキソプラズマ症は,免疫能が正常な患者における網膜炎の最も一般的な原因である(1)。大半の症例は後天性であるが,先天性の症例もあり,特に流行国ではその頻度が高くなる。飛蚊症および視力低下という症状は,硝子体液内の細胞や網膜の病変または瘢痕が原因である可能性がある。同時に前眼部を侵すことがあり,眼痛,充血,および羞明を生じることがある。臨床検査には,血清抗Toxoplasma gondii抗体価の測定を含めるべきである。

視神経乳頭または黄斑など視力に関わる重要な構造を脅かす後部病変を有する患者,および易感染性患者には治療が推奨される(2)。一般的に多剤併用療法が処方される;ピリメタミン,スルホンアミド系薬剤,クリンダマイシン,および選択された症例に対しコルチコステロイドの全身投与などがある。しかしながら,抗菌薬による予防を併用せずにコルチコステロイドを用いるべきではない。黄斑または視神経に隣接し視力を脅かす病変には,クリンダマイシンの硝子体内注射が必要である。トキソプラズマ症は再発する可能性があり,視力を脅かす病変のある患者にはトリメトプリム/スルファメトキサゾールによる長期予防が必要になることがある。長時間作用型コルチコステロイド(例,トリアムシノロンアセトニド)の眼周囲および眼内投与は避けるべきである。

症状がほとんどないか無症状で,視力に関わる重要な構造を直接脅かさない小さな周辺病変のみがみられる患者は,無治療で経過観察することがあり,1~2カ月以内に緩徐な改善を示すはずである。

ヘルペスウイルス:HSVおよびVZV

HSVによって前部ぶどう膜炎が引き起こされる。VZVが前部ぶどう膜炎を引き起こすことはそれほど多くないが,帯状疱疹による前部ぶどう膜炎の有病率は加齢とともに増加する。HSVとVZVはどちらも後部ぶどう膜炎を引き起こす可能性があるが,この頻度はより低い。

前部ぶどう膜炎の症状としては,以下のものがある:

  • 眼痛

  • 羞明

  • 視力低下

徴候としては以下のものがある:

  • 充血

  • 結膜充血および前房の炎症(細胞およびフレア),しばしば角膜の炎症(角膜炎)を伴う

  • 角膜知覚低下

  • 斑状または扇形虹彩萎縮

大半の病型のぶどう膜炎では典型的には低眼圧がみられるのとは対照的に,眼圧が上昇することもある;眼圧が高いことを確かめるには,例えばゴールドマン眼圧計などの圧平眼圧計,空気式眼圧計,電気圧入眼圧計,または(ほかにない場合は)シェッツ眼圧計を用いる。

治療は一般に眼科医が開始すべきであり,コルチコステロイドの局所投与および調節麻痺・散瞳薬を用いるべきである(3)。アシクロビル(HSVには400mg,経口,1日5回,VZVには800mg,経口,1日5回)またはバラシクロビル(HSVには1g,経口,1日2回,VZVには1g,経口,1日3回)を併用することもある。眼圧が高い患者では,眼圧を下降させる点眼薬が必要となることもある。

急性網膜壊死(ARN)は急速進行性の網膜炎であるが,VZVおよびHSV感染の症状としては,はるかに頻度は低い。ARNは融合性の網膜炎,閉塞性網膜血管炎,および中等度から重度の硝子体炎を典型的な症候とする。ARNの症例の3分の1は両眼性となり,4眼中3眼の割合で網膜剥離を起こす(4)。ARNはHIV/AIDS患者にも起こりうるが,重度の易感染性患者では硝子体炎がそれほど目立たない可能性がある。ARNを診断する上で,培養およびPCR検査のため,前房穿刺または硝子体生検が有用となりうる。治療選択肢としては,アシクロビルの静注,ガンシクロビルまたはホスカルネットの静注,ガンシクロビルまたはホスカルネットの硝子体内投与,バラシクロビルまたはバルガンシクロビルの経口投与などがある。

ヘルペスウイルス:サイトメガロウイルス

サイトメガロウイルス(CMV)は,易感染性患者における網膜炎の最も一般的な原因であるが(5),抗レトロウイルス療法(ART)を受けているHIV/AIDS患者では有病率が低下している(6)。2001年時点では,このような患者の有病率は10%であった(7)。罹患している患者の大半はCD4陽性細胞数が100/μL未満である。CMV網膜炎は新生児および薬剤による免疫抑制患者にも起こりうるが,まれである。CMVはまれに,免疫能が正常な患者において前部ぶどう膜炎を引き起こすことがある。

CMV網膜炎の症状としては,霧視,盲点,飛蚊症,閃光,および視力障害がある。ヘルペスウイルス科の他のウイルスによる網膜炎と同様に,典型的には眼圧が上昇する。ただし,感染は無症状のことも多い。

診断は,概して直像または倒像検眼鏡を用いた検査に基づき臨床的に行う;血清学的検査の有用性は限られているが,診断に疑問がある場合は,房水の分析により確定できる。

HIV/AIDS患者の治療は,ガンシクロビルの全身または硝子体内投与,ホスカルネットの全身または硝子体内投与,またはバルガンシクロビル全身投与による(8)。典型的には,多剤併用抗レトロウイルス療法により免疫再構築(典型的には,3カ月間以上にわたりCD4陽性細胞数が100/μLを超える)が達成されない限り,無期限に治療を継続する。CD4陽性細胞数が50/μL未満の患者では,たとえ無症状であっても,3カ月毎にCMV網膜炎のモニタリングを行うべきである。

参考文献

  1. 1.Rothova A, Hajjaj A, de Hoog J, et al: Uveitis causes according to immune status of patients.Acta Ophthalmol 97(1):53-59, 2019.doi: 10.1111/aos.13877

  2. 2.Zegans ME, Tabbara KF: Management of ocular toxoplasmosis.American Academy of Ophthalmology.ONE® Network.Current Insight, 2008.

  3. 3.Doran M: Understanding and treating viral anterior uveitis.American Academy of Ophthalmology.EyeNet®Magazine, 2009.

  4. 4.Anthony CL, Bavinger JC, Yeh S: Advances in the diagnosis and management of acute retinal necrosis.Ann Eye Sci 5:28, 2020.

  5. 5.Jabs DA: Ocular manifestations of HIV infection.Trans Am Ophthalmol Soc 93:623-683, 1995.PMID: 8719695

  6. 6.Deayton JR, Wilson P, Sabin CA, et al: Changes in the natural history of cytomegalovirus retinitis following the introduction of highly active antiretroviral therapy.AIDS 14(9):1163-1170, 2000.doi: 10.1097/00002030-200006160-00013.doi:10.1097/00002030-200006160-00013

  7. 7.Zambarakji HJ, Newson RB, Mitchell SM: CMVR diagnoses and progression of CD4 cell counts and HIV viral load measurements in HIV patients on HAART.Br J Ophthalmol 85(7):837-841, 2001.doi: 10.1136/bjo.85.7.837

  8. 8.Smith BT, Regillo CD.How to treat cytomegalovirus retinitis.Scott IU, Fekrat S, eds.In EyeNet®Magazine, 2024 (originally published in 2005).

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