口腔灼熱症候群

(舌痛症;口腔異常感症;舌灼熱感)

執筆者:Bernard J. Hennessy, DDS, Texas A&M University, College of Dentistry
レビュー/改訂 2022年 5月
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口腔灼熱症候群は,原因が特定されない状況で,通常は舌を含む口腔内に灼熱痛が生じる慢性疾患である。身体徴候や特異的な診断検査はなく,治療は対症療法であり,しばしば困難となる。二次性の口腔灼熱症候群は,他の疾患によって引き起こされる同様の症状を指す。

歯科患者の評価も参照のこと。)

口腔灼熱症候群はまれであり,一般に閉経後女性に生じる。神経原性であると考えられており,痛覚および味覚の中枢神経と末梢神経が侵され,原因は多因子性である可能性がある。

二次性の口腔灼熱症候群の原因としては以下のものがある:

口腔灼熱症候群では,舌,口蓋,口唇などの口腔粘膜表面に灼熱感,ヒリヒリ感,またはしびれが,しばしば両側性に,ときに複数の部位に生じることがある。痛みは著明で,毎日起こることがある。痛みは持続的なこともあれば,1日を通して増大することもあり,また飲食によって軽減することがある。口腔乾燥を感じたり,味覚異常が生じたりすることがある。疼痛は,それに伴う情緒的問題(不安,抑うつ)と同様に,社会性に悪影響をもたらす可能性がある。口腔灼熱症候群の症状の持続期間は数カ月から数年と様々であるが,症状は自然に消失するか,または二次性の原因を同定して対処できれば消失する。

口腔灼熱症候群の診断

  • 臨床的評価

  • 二次性の原因を除外する検査

口腔灼熱症候群の診断には,上述の口腔症状を認め,かつ口腔の徴候を認めないことが必要である。疼痛は,3カ月以上にわたり,そのうちの50%の日数で,1日2時間以上(この信頼できない可能性のある基準を省略している著者もいる)生じていなければならない。口腔灼熱症候群は除外診断により診断する;したがって,二次性の原因の検査を徹底的に行うべきであり,具体的には唾液流量の測定,全身性疾患を評価するための血液検査,頭頸部の画像検査,生検などを行う。

口腔灼熱症候群の治療

  • 対症療法

  • 二次性の口腔灼熱症候群に対する根治的治療

口腔灼熱症候群の治療は困難であり,患者にとって満足のいく効果が得られず苛立たしいものとなることがある。共感的で集学的なアプローチが役立つことがあり,これには認知行動療法三環系抗うつ薬,α-リポ酸,クロナゼパム,外用カプサイシン,ガバペンチンなどの薬剤が含まれる。患者自身による疼痛緩和対策には,冷たい飲料,氷片,ガム(シュガーレス)を噛むことや,タバコ,辛味・酸味の強い食品,アルコール(飲料や洗口液に含まれる)などの刺激物を避けることなどがある。

二次性の口腔灼熱症候群は,基礎疾患の適切な治療によって治癒することがある。

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