慢性肉芽腫症は,活性酸素を産生できない白血球および食細胞の殺菌機能障害を特徴とする。症状としては,繰り返す感染症;肺,肝臓,リンパ節,消化管,および泌尿生殖器の複数の肉芽腫性病変;膿瘍;リンパ節炎;高ガンマグロブリン血症;赤血球沈降速度亢進;貧血などがある。診断は,フローサイトメトリーによる活性酸素産生能測定での白血球の酸素ラジカル産生の評価による。治療は抗菌薬,抗真菌薬,およびインターフェロンγによるほか,顆粒球輸血が必要になることもある。
(免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。)
慢性肉芽腫症(CGD)は,食細胞の異常が生じる原発性免疫不全症である。50%を超えるCGD症例は,X連鎖潜性(劣性)形質として遺伝するため,男性のみに発生する;残りの症例は,常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)である。CGDの原因となる一般的な変異は,gp91phox(X連鎖形式),p22phox,p47phox,およびp67phoxの各遺伝子に起こる。
CGDでは,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ活性が不十分なため,白血球は過酸化水素,スーパーオキシドその他の活性酸素を産生しない。食細胞の殺菌機能に異常がある;そのため,食作用は正常にもかかわらず細菌および真菌が死滅しない。
慢性肉芽腫症の症状と徴候
慢性肉芽腫症は通常小児期早期に反復性の膿瘍から始まるが,少数の患者では発症が10歳代前半まで遅れる。典型的な病原体はカタラーゼ産生菌である(例,黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus],大腸菌[Escherichia coli],Serratia属,Klebsiella属,Pseudomonas属,真菌)。アスペルギルス(Aspergillus)感染症は,死亡の筆頭原因である。
複数の肉芽腫性病変が肺,肝臓,リンパ節,消化管および泌尿生殖器(閉塞を引き起こす)に生じる。化膿性リンパ節炎,肝脾腫,肺炎,および慢性感染症の血液学的所見がよくみられる。さらに,皮膚,リンパ節,肺,肝臓,および肛門周囲の膿瘍;口内炎;ならびに骨髄炎も生じる。
発育が遅延することがある。
慢性肉芽腫症におけるgp91 phox欠損のX連鎖キャリアは,無症状のこともあれば,ループス様症候群を伴う関節痛,アフタ性潰瘍,脈絡網膜病変,および光線過敏症など,通常は重症度の低い様々な症状を発症することもある(1)。
症状と徴候に関する参考文献
1.Battersby AC, Braggins H, Pearce MS, et al: Inflammatory and autoimmune manifestations in X-linked carriers of chronic granulomatous disease in the United Kingdom.J Allergy Clin Immunol 140:628–630, 2017.
慢性肉芽腫症の診断
フローサイトメトリーによる活性酸素産生能(呼吸バースト)測定
慢性肉芽腫症の診断は,フローサイトメトリーによる活性酸素産生能(呼吸バースト)測定に基づき,この検査ではジヒドロローダミン123(DHR)またはニトロブルーテトラゾリウム(NBT)を用いて酸素ラジカル産生を検出する。この検査では,女性のX連鎖型および常染色体潜性(劣性)型のキャリアも特定できる。これらの型では,DHRを用いたアッセイにより,正常食細胞と欠損食細胞の2つの集団が示される。
遺伝子検査は遺伝子異常を確認するために行われるが,診断を下すには必ずしも必要でない。DHRを用いて同胞をスクリーニングする。
高ガンマグロブリン血症および貧血が起こることがあり,赤血球沈降速度が亢進する。
慢性肉芽腫症の治療
予防的抗菌薬投与および通常は抗真菌薬も
通常はインターフェロンγ
重度の感染症には顆粒球輸血
造血幹細胞移植
慢性肉芽腫症の治療は,継続的な予防的抗菌薬投与であり,特にスルファメトキサゾール/トリメトプリム800/160mgを1日2回で経口投与する。経口抗真菌薬を一次予防として投与するか,真菌感染症が一度でもみられた場合は治療に追加する;最も有用性が高い薬剤はイトラコナゾール,ボリコナゾール,およびポサコナゾールである。
インターフェロンγにより感染症の重症度および頻度が減少することがあるため,通常は治療レジメンに含める。
感染症が重度の場合は,顆粒球輸血が救命につながることがある。
過敏性腸症候群などの感染によらない炎症性合併症をコントロールするために,しばしば免疫抑制薬が必要になる(1)。
移植前化学療法を先に実施すると,HLA(ヒト白血球抗原)完全一致同胞からの造血幹細胞移植は通常成功する。
治療に関する参考文献
1.Grammatikos A, Gennery AR: Inflammatory Complications in Chronic Granulomatous Disease. J Clin Med 13(4):1092, 2024.doi:10.3390/jcm13041092
2.Mudde A, Booth C: Gene therapy for inborn error of immunity - current status and future perspectives. Curr Opin Allergy Clin Immunol 23(1):51–62, 2023.doi:10.1097/ACI.0000000000000876
3.Sevim-Wunderlich S, Dang T, Rossius J, Schnütgen F, Kühn R: A Mouse Model of X-Linked Chronic Granulomatous Disease for the Development of CRISPR/Cas9 Gene Therapy. Genes (Basel) 15(6):706, 2024.doi:10.3390/genes15060706
要点
小児期に反復性の膿瘍がみられる患者(ときに10歳代前半までみられない)では慢性肉芽腫症(CGD)を疑い,病原体がカタラーゼ産生菌(例,黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus],大腸菌[Escherichia coli],Serratia属,Klebsiella属,Pseudomonas,真菌)である場合は特にこの診断の可能性が高い。
フローサイトメトリーによる活性酸素産生能測定を用いてCGDを診断しキャリアを同定する。
大半の患者は,予防的抗菌薬投与,抗真菌薬,およびインターフェロンγにより治療する。
重度の感染症には顆粒球輸血を行う。
造血幹細胞移植を考慮する。



