白血球減少症の概要

白血球減少症とは，循環血中の白血球数が4000/μL（4 × 10⁹/L）未満に減少した状態である。通常は循環血中の好中球数が減少した結果であるが，リンパ球，単球，好酸球，または好塩基球の減少も一因となる場合がある。その結果，一般に免疫機能が低下することがある。

好中球減少症とは，循環血中の好中球数が1500/μL（1.5 × 10⁹/L）未満に減少した状態である。アフリカまたは中東に祖先をもつ人々では，しばしば好中球数が500/μL（0.5×10⁹/L）と低いことあがり，民族性好中球減少症（ethnic neutropenia）と呼ばれる。こうした差は，現在ではDARC（Duffy antigen receptor-1）遺伝子の多型によるものと説明されるのが一般的である。単球減少症とリンパ球減少症を伴った好中球減少症は，好中球減少症単独の場合より重度の免疫障害を引き起こす。

リンパ球減少症は，総リンパ球数が成人で1000/μL（1 × 10⁹/L）未満となった状態であるが，リンパ球数は総白血球数の20～40％を占めるに過ぎないため，必ずしも総白血球数の減少として認識されるとは限らない。リンパ球減少症の臨床像は，減少しているリンパ球の種類によって変わることがある。

単球減少症とは，循環血中の単球数が500/μL（0.5 × 10⁹/L）未満に減少した状態である。単球は組織内に移動してマクロファージになり，組織の部位に応じた特異的な特徴を有する。