自律神経性ニューロパチーは,自律神経線維が不均衡に侵される末梢神経疾患である。
(自律神経系の概要も参照のこと。)
最もよく知られた自律神経性ニューロパチーは,アミロイドーシス,自己免疫疾患,または糖尿病に起因する末梢神経障害に伴うものである。
自己免疫性自律神経性ニューロパチーは,ウイルス感染後にしばしば発症する特発性疾患であり,発症は亜急性のことがある。
自律神経機能不全は通常,アルコール性末梢神経障害においては晩期の症候である。
その他の原因としては,毒性物質,薬物,腫瘍随伴症候群などが考えられる。
自律神経性ニューロパチーの症状と徴候
自律神経性ニューロパチーの診断
臨床的評価
自律神経性ニューロパチーの診断は,自律神経不全の存在と神経障害の具体的原因(例,糖尿病,アミロイドーシス)を証明することに基づく。
ウイルス感染後には,自己免疫性自律神経性ニューロパチーが疑われる場合がある。
血清抗ganglionicニコチン性アセチルコリン受容体α3抗体(抗ganglionic AChR[α3-AChR]抗体)を検出する検査を行ってもよい。この抗体は自己免疫性自律神経性ニューロパチー患者の約半数で認められるが,他の自律神経性ニューロパチーの患者でもときに認められる。
自律神経性ニューロパチーの治療
基礎疾患の治療
ときに免疫療法,血漿交換,または免疫グロブリン静注療法
基礎疾患を治療し,症状も治療する。
自己免疫性自律神経性ニューロパチーは,免疫療法が奏効することがあり,重症例には血漿交換または免疫グロブリン静注療法を用いることができる。
要点
診断は自律神経不全による症状(例,起立性低血圧,神経因性膀胱,勃起障害,胃不全麻痺,難治性の便秘)と神経障害の原因を同定することに基づく。
基礎疾患が同定されれば治療する;自己免疫性自律神経機能不全と診断した場合は免疫療法を,症状が重度であれば血漿交換または免疫グロブリン静注療法を試みる。