心不全に使用される薬剤

執筆者:Nowell M. Fine, MD, SM, Libin Cardiovascular Institute, Cumming School of Medicine, University of Calgary
レビュー/改訂 2022年 9月
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心不全は心室機能障害により生じる症候群である(心不全を参照)。

心不全の薬物治療では以下により症状を軽減する:

長期管理および生存期間延長を目的とする薬物治療には以下を使用する:

全ての患者に,以下を含む薬剤に関する明確な情報を明示的に伝えるべきである:

  • 適時処方を更新することの重要性

  • 治療に対するアドヒアランスの重要性

  • 有害作用を認識する方法

  • 医師に連絡すべき状況

心不全に対する薬剤の選択

使用薬剤の選択は,患者ごとの特徴と心不全の病型に依存する。現在最も一般的に用いられている心不全の分類では,患者を次のように層別化している:

駆出率が低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)

HFrEFの標準治療には以下の4種類の治療法が含まれ,これらはHFrEFの管理における「基礎療法(foundational therapy)」とみなされている:

  • β遮断薬

  • レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬(典型的にはARNIであるが,ARNIに耐えられない場合はACE阻害薬またはARBも使用できる)

  • アルドステロン拮抗薬

  • SGLT2阻害薬

これら4つの薬物クラスが研究され,HFrEFの長期管理に有益であることが示されている。通常は最大耐量まで漸増する。典型的には各クラスから1剤ずつ投与する。患者は心不全を発症する前からこれらのクラスの薬剤のいずれかを服用している場合があるため,治療開始の順序と用量漸増のペースは一般に患者毎に異なる。

ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬であるダパグリフロジンまたはエンパグリフロジン(1)を標準治療に追加すると,ナトリウム利尿ペプチドが高値の患者の合併症発生率および死亡率が低下することが示されており,その有益性は糖尿病患者と糖尿病のない患者で同程度であった。

その他の治療法は患者毎の状況に応じて用いられる(例,患者がβ遮断薬に耐えられない場合に心拍数を低下させるために洞結節阻害薬を使用する)。

駆出率が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)

HFpEFについては,十分に研究された薬剤が比較的少ない。しかしながら,HFpEFや関連する併存症(高血圧や腎機能障害など)の治療にACE阻害薬,ARB,またはアルドステロン拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)がしばしば使用されるが,臨床試験で延命効果が実証されているわけではなく,したがって標準治療とはみなされていない。

ARNIは心不全による入院を減少させる可能性があるが,それ以外の転帰は改善させない。

最近の臨床試験では,SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンを通常の治療に追加することで,HFpEFによる死亡率および入院率が低下することが示された(2)。

β遮断薬は,他の適応(例,心房細動発作中の心拍数コントロール,狭心症,心筋梗塞後)がすでにある場合にのみ使用すべきである。重度のHFpEF患者では(HFrEFとは対照的に),重度の拡張機能障害により一回拍出量が比較的固定されているため,心拍数を(β遮断薬などにより)低下させると,症状が悪化する可能性がある。このような患者では,心拍出量が心拍数に依存するため,心拍数を低下させると安静時および/または労作時の心拍出量も低下する可能性がある。

浸潤性,拘束型,または肥大型心筋症の患者では,ジゴキシンは効果的ではなく,有害となる可能性がある。また,これらの患者では血管拡張療法も忍容性が不良となる可能性があり,便益も示されていない。

駆出率が軽度低下した心不全(heart failure with mildly reduced ejection fraction:HFmrEF)

HFmrEFでは,ARNIにより固有の便益が得られる可能性があるが,これについては検証が必要である。

HFmrEFの患者でも,標準治療にエンパグリフロジンなどのSGLT2阻害薬を追加することが有益となる。

薬物選択に関する参考文献

  1. 1.Packer M, Anker SD, Butler J, et al: Cardiovascular and renal outcomes with empagliflozin in heart failure.N Engl J Med 383(15):1413-1424, 2020.doi: 10.1056/NEJMoa2022190.Epub 2020 Aug 28.PMID: 32865377.

  2. 2.Anker SD, Butler J, Filippatos G, et al: Empagliflozin in heart failure with a preserved ejection fraction.N Engl J Med 385(16):1451-1461, 2021.doi: 10.1056/NEJMoa2107038.Epub 2021 Aug 27.PMID: 34449189.

心不全に使用される薬剤のクラス

アルドステロン拮抗薬

アルドステロンにはレニン-アンジオテンシン系とは独立した産生経路があるため,たとえACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を最大量で使用しても,アルドステロンの有害作用を完全に抑えることはできない。そのため,アルドステロン拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬とも呼ばれる)がしばしば使用され,特に中等度から重度の心不全の症候がみられる患者によく使用される。

典型的な薬剤としては,スピロノラクトン25~50mg,経口,1日1回やエプレレノン25~100mg,経口,1日1回(男性で女性化乳房を引き起こさない)などがある。アルドステロン拮抗薬を使用すれば,左室駆出率30%未満の慢性心不全患者または急性心筋梗塞を合併した急性心不全患者において,突然死を含む死亡率を低下させることが可能である。

カリウム製剤は中止すべきである。血清カリウム値およびクレアチニン値を最初の4~6週間は1~2週毎に,また用量を変更するたびに確認すべきである。カリウム値が5.0~5.5mEq/L(5.5mmol/L)の場合は減量し,カリウム値が5.5mEq/L(5.5mmol/L)を超えるか,クレアチニンが2.5mg/dL(220μmol/L)を超えて上昇するか,または高カリウム血症による心電図変化が認められる場合は投与を中止する。アルドステロン拮抗薬は,ACE阻害薬とARBを併用している患者では,高カリウム血症および腎機能障害のリスクが高いため,使用すべきでない。

HFrEFの患者では,ACE阻害薬とARBの併用よりも,アルドステロン拮抗薬とACE阻害薬またはARBの併用が望ましい。

HFpEFの患者では,スピロノラクトンを使用することで心不全のための入院率が低下するほか,心血管死亡率が低下する可能性が高い(1)。このように,HFpEFの患者には,特に容量負荷があるか心不全での入院の既往がある場合,アルドステロン拮抗薬を使用すべきである。アルドステロン拮抗薬を使用する上で必要であれば,ループ利尿薬は最小限に抑えてもよい。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬

HFrEFの患者には,ACE阻害薬の経口投与を,禁忌(例,血漿クレアチニン値 > 2.8mg/dL[> 250μmol/L],両側性腎動脈狭窄,単腎での腎動脈狭窄,ACE阻害薬に起因した血管性浮腫の既往)がない限り全例に行うべきである。

ACE阻害薬は,交感神経系,内皮機能,血管緊張,および心筋機能に影響を及ぼすメディエーターであるアンジオテンシンIIの産生とブラジキニンの分解を阻害する。血行動態に対する作用としては以下のものがある:

  • 動脈および静脈の拡張

  • 安静時および労作時の持続的な左室充満圧低下

  • 体血管抵抗の減少

  • 心室リモデリングに対する好ましい作用

ACE阻害薬は生存期間を延長し,心不全による入院を減少させる。動脈硬化および血管疾患を有する患者では,この種の薬剤の投与により心筋梗塞および脳卒中のリスクが低下する。糖尿病患者では,腎症の発症を遅らせる効果がある。したがって,ACE阻害薬は拡張機能障害および上記の疾患のいずれかを有する患者に用いることができる。

開始量は典型的には低く設定すべきである(通常は血圧および腎機能に応じて目標用量の4分の1から2分の1);用量は,忍容性に応じて8週間かけて漸増し,その後は無期限に継続する。代表的な薬剤の通常の目標用量は,エナラプリルで10~20mg,1日2回,リシノプリルで20~30mg,1日1回,ラミプリルで5mg,1日2回などであるが,このほかにも多数の薬剤がある。

降圧作用(低ナトリウム血症または体液量減少がある患者でより著明となる)が問題となる場合は,他の降圧薬との併用の回避,併用する利尿薬の減量,長時間作用型ACE阻害薬(例,ペリンドプリル)の使用,就寝時の投与などにより,その影響を最小限に抑えることがしばしば可能である。ACE阻害薬はしばしば,糸球体輸出細動脈の拡張に起因する軽度から中等度の可逆的な血清クレアチニン値の上昇を引き起こす。初期にみられるクレアチニン値の20~30%の上昇は投与を中止する理由とならないが,綿密なモニタリング,より緩徐な増量,利尿薬の減量,または非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の回避が必要となる。アルドステロンの作用が減弱するため,カリウム貯留(高カリウム血症)を来すことがあり,特にカリウム製剤を使用している患者で多くみられる。咳嗽は5~15%の患者にみられ,これはおそらくブラジキニンが蓄積するためであるが,他の原因も考慮すべきである。ときに発疹や異味症がみられる。血管性浮腫はまれであるが,生命を脅かす可能性があり,ACE阻害薬に対する禁忌となっている。代替薬としてはARBを使用できるが,まれに交差反応が報告される。どちらの薬剤も妊娠中は禁忌である。

血清電解質および腎機能を,ACE阻害薬の開始前,1カ月時,および有意な増量または臨床状態の変化があるたびに測定するべきである。急性疾患により脱水または腎機能低下が発生した場合は,ACE阻害薬の減量または休薬が必要になることがある。

HFpEFの患者では,ACE阻害薬であるペリンドプリルのランダム化比較試験にて運動耐容量の改善が実証された。この試験では,プラセボからACE阻害薬へのクロスオーバー率が高かったものの,生存率は改善されなかった(2)。HFpEFでは高血圧の有病率が非常に高いため,ACE阻害薬はこれらの患者の運動耐容量に対して二次的な効果が期待できることから,高血圧のコントロールにACE阻害薬を使用するのは妥当である。

アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)

ACE阻害薬に対する優位性は実証されていないものの,咳嗽および血管性浮腫を引き起こす可能性は低く,これらの有害作用によりACE阻害薬を使用できない場合にも使用することができる。

慢性HFrEFでは,ACE阻害薬とARBは等しく効果的である可能性が高い。通常の目標経口用量は,バルサルタンで160mg,1日2回,カンデサルタンで32mg,1日1回,ロサルタンで50~100mg,1日1回である。ARBの導入,用量調節,およびモニタリングは,ACE阻害薬と同様である。ACE阻害薬と同様に,ARBは可逆的な腎機能障害を引き起こす可能性があり,脱水を来す急性疾患がある間は,一時的に減量または休薬が必要になることがある。

ACE阻害薬,β遮断薬,およびアルドステロン拮抗薬のレジメンへのARBの追加については,有益となる可能性が低く,高カリウム血症のリスクを踏まえると避けるべきである。ACE阻害薬またはARBを服用している患者で依然として症状がみられる場合は,アルドステロン拮抗薬の投与を開始するか,アンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬(ARNI)を使用するか,これら両方で対応すべきである。

HFpEFの患者では,カンデサルタンの大規模ランダム化比較試験(3)にて心不全の再発による入院件数を減少させる効果が実証されたが,入院は二次的なエンドポイントである。別の試験(4)では,イルベサルタンを使用したHFpEF患者に成績の改善は認められなかった。したがって,HFpEF患者へのARBの使用は,すでに高血圧,糖尿病性腎疾患,または微量アルブミン尿の治療に用いられている場合のみに限定すべきである。

ARBは妊娠中は禁忌である。

アンジオテンシン受容体/ネプリライシン阻害薬(ARNI)

ARNIは心不全治療のための新しい併用薬である。これには,ARBに加えて,新たな薬剤クラスであるネプリライシン阻害薬(例,サクビトリル)が含まれる。ネプリライシンは,脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)やその他のペプチドなどの血管刺激物質の分解に関与する酵素である。この種の薬剤は,BNPを始めとする有益な血管作動性ペプチドの分解を阻害することにより,血圧を低下させ,後負荷を軽減し,ナトリウム排泄を促進する。ネプリライシン阻害薬はBNP値を上昇させるため,心不全の診断および管理では(この薬剤を使用しても上昇しない)NTproBNPの測定値を参考にすべきである。

HFrEFでは,大規模ランダム化比較試験(5)において,NYHA(New York Heart Association)クラスII~IVの心不全患者を対象として,サクビトリル/バルサルタンがエナラプリルと比較された(心不全のNYHA分類の表を参照)。サクビトリル/バルサルタンの投与により,心血管死亡と心不全のための入院を組み合わせた一次エンドポイントが減少し,治療必要数(number needed to treat)は21例であった。サクビトリル/バルサルタンは全死亡率も低下させた。そのため,安定したHFrEFの患者,特にガイドラインに基づく至適な薬物療法を受けているNYHAクラスIIまたはIIIの患者で,治療開始前のナトリウム利尿ペプチドが高値の患者については,全例でARNIのサクビトリル/バルサルタンを考慮するべきである。たとえ安定した患者で肺うっ血の発生が少なく,早期の再入院に至る可能性が低いと考えられる入院環境下においても,ACE/ARBからARNIへの早期移行の妥当性がエビデンスにより示されている。

サクビトリル/バルサルタン合剤には24/26mg,49/51mg,97/103mgの3つの含量があり,いずれも1日2回の経口投与で使用する。それまでACE阻害薬またはARBを服用していた患者での開始量は49/51mg,経口,1日2回であり,それまでACE阻害薬またはARBを低用量(例,エナラプリル1日10mg以下)で服用していた患者,ACE阻害薬/ARBを服用したことのない患者,および血圧が低値/境界域の患者では24/26mgとする。サクビトリル/バルサルタンの投与を開始する36時間前には,ACE阻害薬を中止する必要がある。それまでARBを服用していた患者では,休薬期間を置くことなく単純にサクビトリル/バルサルタンに切り替えることができる。

ARNIの使用に伴う合併症としては,低血圧,高カリウム血症,腎機能不全,血管性浮腫などがある。サクビトリルの単剤使用またはACE阻害薬との併用では血管性浮腫のリスクが高まるため,サクビトリルはバルサルタン(ARB)と併用される。このため,ACE阻害薬とARNIの併用療法は絶対的禁忌である。

HFpEFでは,ある第II相試験により,ARNIであるサクビトリル/バルサルタンが12週目のNTproBNP値を低下させ,36週目の左房容積を減少させたことが示された。安定したHFpEF患者集団を対象としたPARAGON HF Studyでは,死亡および入院の減少がみられたものの,有意な変化ではなかった(6, 7)。しかしながら,入院率が低下していた可能性もあり,さらなる研究が必要である。

β遮断薬

HFrEFの患者では,β遮断薬は(喘息,第2度もしくは第3度房室ブロック,または不耐容の既往による)禁忌がない限り治療に極めて重要であり,この状態の患者でACE阻害薬に追加できる重要な薬物である。HFrEFでは,β遮断薬は肺うっ血の所見が認められない時点で開始するのが最善である。カルベジロールやメトプロロールコハク酸塩(すなわち,長時間作用型メトプロロール)などの特定のβ遮断薬は,重度の症状がみられる患者を含む慢性のHFrEF患者の左室駆出率,生存期間,および他の主要な心血管系のアウトカムを改善する。

HFpEF患者では,臨床試験でβ遮断薬の明らかな有益性は示されていない。しかしながら,HFpEFでは変時性不全(chronotropic incompetence;すなわち,運動負荷の増大に反応して心拍数を高められない状態)の有病率が比較的高いにもかかわらず,β遮断薬の使用にはHFpEFにおけるアウトカム改善との関連がみられることが,大規模レジストリーのデータから示唆されている。心不全に関する主要なガイドラインはいずれも,心室のレートコントロールが適応となる病態(すなわち,心房細動における心室拍数のコントロール)に対する第1選択の治療法としてβ遮断薬を推奨している。

開始量は低く(目標1日量の4分の1)設定すべきであり,その後は忍容性に応じて8週間かけて漸増する。β遮断による急性の陰性変力作用により,初期には心抑制や体液貯留が生じることがある。そのような場合は,利尿薬の一時的な増量とβ遮断薬の緩徐な漸増が必要である。忍容性は時間経過とともに改善する場合があり,目標用量の達成に努めるべきである。通常の目標経口用量は,カルベジロールで25mg,1日2回(85kg以上の患者には50mg,1日2回),ビソプロロールで10mg,1日1回,メトプロロールで50~75mg,1日2回(酒石酸塩)または200mg,1日1回(コハク酸塩の徐放性製剤)である。第3世代の非選択的β遮断薬であるカルベジロールは,α遮断作用および抗酸化作用を有する血管拡張薬でもあり,好んで使用され,最も広く研究されているβ遮断薬であるが,多くの国ではより高価である。一部のβ遮断薬(例,ブシンドロール[bucindolol],キサモテロール)は有益ではないようであり,有害となる可能性がある。

重度の急性代償不全時には,β遮断薬は患者の状態が安定し,体液貯留の所見がほとんど認められなくなるまで開始してはならない。すでにβ遮断薬を服用している急性心不全増悪のあるHFrEF患者に対しては,絶対に必要でない限り,減量あるいは投与停止をするべきではない。急性心不全増悪のある患者に対しては,利尿薬を一時的に増量するとしても,β遮断薬の投与を続けることができることが多い。

HFrEFでは,初期治療後に心拍数および心筋酸素消費量が低下するが,一回拍出量および充満圧は変化しない。心拍数の低下に伴い,拡張機能は改善する。心室充満はより正常なパターンに回復し(拡張早期の増加),拘束性パターンの程度が軽くなる。一部の患者では心筋機能の改善が6~12カ月後に認められるが,より長い期間を要する場合もある;駆出率および心拍出量は増大し,左室充満圧は低下する。運動耐容量は改善する。

ジゴキシン

ジゴキシンはナトリウム-カリウムポンプ(Na+, K+-ATPase)を阻害する。その結果,これらの薬剤は弱い陽性変力作用を生じさせ,交感神経活動が減弱し,房室結節が遮断され(心房細動における心室拍数の減少または洞調律におけるPR間隔の延長),血管収縮が減弱し,腎血流量が改善する。ジゴキシンは腎臓から排泄され,消失半減期は腎機能正常の患者で36~40時間である。

ジゴキシンの延命効果は証明されていないが,利尿薬およびACE阻害薬と併用した場合には,HFrEF患者における症状のコントロールと入院リスクの低減に役立つ可能性がある。ただし,HFrEFにはエビデンスに基づく治療法が数多く存在するため,ジゴキシンの使用例は顕著に減少しており,使用対象は死亡率を低下させる他の薬剤による至適治療を受けても有意な症状がみられる患者に限定されている。ジゴキシンは,併発した心房細動に対して心拍数をコントロールするため,または右室不全のある患者で右室機能を強化するために用いられている場合を除き,HFpEFでは使用すべきではない。ジゴキシンは,拡張末期左室容積が増大していてIII音が聴取される患者で最も効果的となる。ジゴキシンの急激な中止は,入院率の上昇と症状の悪化につながる可能性がある。

腎機能が正常な患者では,ジゴキシンを年齢,性別,体格に応じた用量(0.125~0.25mg,経口,1日1回)で投与することにより,およそ1週間(半減期の5倍)で十分なジギタリス飽和が得られる。より速やかなジギタリス飽和を得るには,ジゴキシン0.5mgを15分かけて静注して8および16時間後に0.25mgを静注するか,あるいはジゴキシン0.5mgを経口投与して8,16,および24時間後に0.25mgを経口投与すればよい。処方のパターンは医師や国によって大きく異なるが,一般に,以前より低用量で使用されており,ジゴキシンのトラフ濃度(投与8~12時間後)は0.8~1.2ng/mL(1~1.5nmol/L)が望ましい。さらに,心房細動の治療とは異なり,心不全患者に対してジゴキシンを急速に投与する理由は一般的にほとんどない。このように,心不全患者に対するジゴキシン投与の開始量は,単純に0.125mg,経口,1日1回(腎機能が正常の場合)または0.125mg,経口,毎週月曜,水曜,金曜(腎機能に異常がある場合)とすれば十分である。

ジゴキシン中毒が懸念され,腎機能障害のある患者とおそらく女性患者では特に注意が必要である。これらの患者のほか,高齢者,除脂肪体重の低い患者,およびアミオダロンを併用している患者では,低用量で経口投与する必要がある。ジゴキシンは治療域が狭い。最も重要な毒性作用は生命を脅かす不整脈である(例,心室細動心室頻拍,完全房室ブロック)。二方向性心室頻拍,心房細動存在下での非発作性接合部頻拍,および高カリウム血症はジギタリス中毒の重篤な徴候である。悪心,嘔吐,食欲不振,下痢,錯乱,弱視,およびまれに眼球乾燥症が起こりうる。低カリウム血症または低マグネシウム血症(しばしば利尿薬使用による)がある場合,より低い用量および血清中濃度でも毒性が生じることがある。利尿薬およびジゴキシンを服用中の患者では,可能であれば異常を予防できるように,電解質値をモニタリングすべきであり,カリウム保持性利尿薬が役立つことがある。

ジゴキシン中毒が発生した場合は,その薬剤は中止するべきであり,電解質異常は是正すべきである(異常が重度で毒性が急性の場合は静注)。重度の毒性を示す患者はモニタリング下のユニットに収容し,不整脈が認められるか,または顕著な過剰摂取で血清カリウム値が5mEq/L(5mmol/L)を超える場合には,digoxin immune Fab(ヒツジ抗ジゴキシン抗体断片)を投与する。Digoxin immune Fabは,植物の摂取による配糖体中毒にも有用である。用量は定常状態の血清ジゴキシン濃度または総摂取量に基づく。心室性不整脈はリドカインまたはフェニトインにより治療する。房室ブロックに心室拍数の低下を伴う場合は,一時的な経静脈ペースメーカーが必要になることがある。イソプレナリンは,心室性不整脈のリスクを上昇させるため,禁忌である。

利尿薬

利尿薬は,現在または過去に体液量過剰がみられた全ての心不全患者(駆出率の基礎値は問わない)に投与され,その用量は体重の安定化と症状の緩和が得られる最小限の水準に調節する。

容量負荷のコントロールには,まずループ利尿薬を使用すべきであるが,アルドステロン拮抗薬を優先して,可能になった時点で減量すべきである。

よく使用されるループ利尿薬としては,フロセミド,ブメタニド,トラセミドなどがある。これらの薬剤の開始量は,患者が過去にループ利尿薬を使用したことがあるかどうかに依存する。一般的な開始量は,フロセミドは20~40mg,経口,1日1回または1日2回,ブメタニドは0.5~1.0mg,経口,1日1回,トラセミドは10~20mg,経口,1日1回である。ループ利尿薬の用量は,必要であれば反応と腎機能に応じて,フロセミドは120mg,経口,1日2回まで,ブメタニドは2mg,経口,1日2回まで,トラセミドは40mg,経口,1日2回まで漸増することができる。ブメタニドトラセミドは,フロセミドよりも生物学的利用能が良好である。別のループ利尿薬に切り替える場合は,同等の用量で薬剤を変更すべきである。フロセミド40mgはブメタニド1mgと同等であり,これらはトラセミド20mgと同等である。

難治例では,相加効果を得るためにループ利尿薬の静注またはメトラゾン2.5~10mgの経口投与を選択することができる。重度の浮腫がみられる患者の一部では,フロセミド(5~10mg/時)またはその他のループ利尿薬の点滴静注が役立つ可能性がある。ループ利尿薬の点滴静注を開始する前と投与速度を引き上げる前には,急速投与を毎回行うべきである。

ループ利尿薬(特にメトラゾンと併用する場合)は,低血圧を伴う循環血液量減少,低ナトリウム血症,低マグネシウム血症,および重度の低カリウム血症を引き起こすことがある。急性期に必要となった利尿薬の用量は,徐々に減量できるのが通常であり,目標用量は安定した体重を維持でき,症状をコントロールできる最小限の用量である。心不全が改善した時点で,他の薬剤により心機能の改善と心不全症状の軽減が得られている場合は,利尿薬を中止することができる。必要以上の高用量で利尿薬を使用すれば,心拍出量が低下し,腎機能が障害され,低カリウム血症が引き起こされ,死亡率が上昇する。血清電解質と腎機能のモニタリングを,当初は毎日(利尿薬を静脈内投与する場合),その後は必要に応じて(特に増量後)行う。

高用量のループ利尿薬によるカリウム喪失作用を相殺するため,アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトンまたはエプレレノンのいずれか)を早期に追加すべきである。その場合も,高カリウム血症を来す可能性があるため(特にACE阻害薬またはARBを併用している場合),電解質のモニタリングが必要であり,特に腎機能障害を引き起こす脱水状態が予想される場合は非常に重要となる。アルドステロン拮抗薬は,肝うっ血によりアルドステロンの代謝が低下することでアルドステロン濃度が上昇する慢性右室不全において,特に有益となる可能性がある。高カリウム血症のリスクを低減するため,一般にアルドステロン拮抗薬は,カリウム値 < 5.0mEq/L(< 5mmol/L),血清クレアチニン値 < 2.5mg/dL(< 221μmol/L),かつGFR > 30mL/min/1.73m2の患者にのみ投与すべきである。さらに,エプレレノンの同等量はスピロノラクトンの用量の2倍(すなわち,スピロノラクトン25mg = エプレレノン50mg)であることに注意すべきである。

サイアザイド系利尿薬は,高血圧の治療として投与される場合を除き,通常は単剤では使用されないが,利尿効果を高めてループ利尿薬の用量を減らすため,サイアザイド系利尿薬をループ利尿薬に追加することがある。ヒドロクロロチアジド,メトラゾン,およびクロルタリドンは,この用法で使用できる。

信頼できる患者には,体重増加時または末梢浮腫の増悪時に必要に応じて利尿薬を追加で服用するように指導する。体重増加が続く場合は,速やかに医療機関を受診させるべきである。

バソプレシン(抗利尿ホルモン)受容体拮抗薬は,心不全患者で重度かつ難治性の低ナトリウム血症が生じた場合に助けとなる可能性があるが,あまり使用されていない。

洞結節阻害薬

右房後方に位置する洞結節(心臓ペースメーカー)細胞の中には,特定のゲートチャネル(funny channelまたはIfチャネル)を内向きナトリウム/カリウム電流が流れている。この電流は,ときにIf電流(inward funny current)とも呼ばれる。この電流を抑制することにより,ペースメーカー細胞が自発的に脱分極の閾値に達するまでの時間が延長し,それにより心拍数が低下する。

イバブラジンは,洞結節に作用して心拍数を低下させるIfチャネル阻害薬である。その受容体が心臓ペースメーカー細胞にのみ存在するため,この種の薬剤はこれ以外に心臓に作用を及ぼさず(すなわち,収縮性に直接影響を与えない),洞調律でない患者の治療には有用ではない。イバブラジンは現在,ガイドラインに基づく薬物療法(β遮断薬を含んでいるはずである)を受けているにもかかわらず,症候性の心不全がみられ,正常洞調律ながら心拍数が70/分を超えているHFrEF患者に対して使用が推奨されている。典型的には,イバブラジンが有益となる可能性があるのは,β遮断薬の投与を目標用量で受けていながら心拍数が70/分を超えているか,β遮断薬のさらなる増量に耐えられない,NYHA(New York Heart Association)クラスIIまたはIIIの症状(心不全のNYHA分類の表を参照)がみられるHFrEFの患者である(8)。

イバブラジンの初回投与量は2.5~5mg,経口,1日2回であり,心拍数が50~60/分になるまで2週間毎に漸増する;最大用量は7.5mg,1日2回である。

現時点では,イバブラジンがこの薬物クラスに属する唯一の薬剤である。

ナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2阻害薬)

SGLT2阻害薬は,糖尿病の治療に使用される薬剤で,グルコースの再吸収を阻害することで糖尿を誘発し,血漿血糖値を低下させる。心筋および血管系に作用することもある。この種の薬剤は,2型糖尿病患者における心不全の発症を予防することが以前から示されている。このクラスに属する薬剤であるダパグリフロジンについて,ナトリウム利尿ペプチドが高値の患者において標準治療に追加することで,HFrEF患者の症状および生活の質が改善し,入院および死亡が減少することが示され,その便益の大きさは糖尿病患者と糖尿病のない患者で同程度であった(9)。最近の臨床試験では,SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンを通常の治療に追加することで,糖尿病の有無にかかわらずHFpEF患者の入院および死亡が減少することが示された(10)。

ダパグリフロジンおよびエンパグリフロジンは10mg,1日1回,経口で投与される。治療により,推算糸球体濾過量(eGFR)が軽度に(10~15%)低下するが,これは進行せず,ほかに糖尿とわずかな体重減少がみられる。リスクとして真菌による性器感染症があるほか,糖尿病患者では低血糖および糖尿病性ケトアシドーシスのリスクもごくわずかながらある。これらの薬剤は一般に,1型糖尿病,低血圧,eGFR低値(< 30mL/min/1.73m2),または腎機能が急速に悪化している患者には適応とならない。

その他のSGLT2阻害薬(例,カナグリフロジン,エルツグリフロジン[ertugliflozin])については,心不全を直接対象とした研究は行われていないが,糖尿病を対象とした研究の二次解析から,これらの薬剤も有益である可能性が示唆されている。

血管拡張薬

ACE阻害薬またはARBに真に不耐容(通常は有意な腎機能障害が原因である)の患者にはヒドララジン + 硝酸イソソルビドが役立つ可能性があるが,この併用療法の長期的便益を示した研究は限られている。しかしながら,アフリカ系の患者においては,この併用療法を標準治療に追加することで,死亡率および入院率が低下し,生活の質が向上することが示されている。血管拡張薬として,これらの薬剤は血行動態の改善,弁逆流の軽減,運動耐容量の向上をもたらし,一方で有意な腎障害を引き起こさない。

ACE/ARBの代わりに使用する場合,ヒドララジンは25mg,経口,1日4回から投与を開始し,目標総用量である300mg/日まで3~5日毎に増量するが,多くの患者は低血圧のため200mg/日を超える量には耐えられない。硝酸イソソルビドは20mg,経口,1日3回(12時間の硝酸薬休薬時間を挟む)から開始し,目標用量である40~50mg,1日3回まで増量する。より低用量(日常診療でしばしば用いられる)での投与が長期的に有益かどうかは不明である。一般に,血管拡張薬はACE阻害薬に取って代わられており,ACE阻害薬の方が使用しやすく,忍容性も通常は良好であり,より大きな便益も証明されている。

HFrEFの状態にあるアフリカ系の患者では,ACE/ARBへのヒドララジン-硝酸薬併用療法の追加が有益となる可能性がある。この場合,開始量はヒドララジン37.5mgおよび硝酸イソソルビド20mg,経口,1日3回であり,最大用量は75mgおよび40mg,1日3回である。これらの用量は固定用量配合剤としても利用できる。アフリカ系の心不全患者においてACE/ARBにヒドララジン-硝酸薬療法を追加するか,ヒドララジン-硝酸薬療法で代替するかは症例毎に決定され,多くの場合,各薬剤への耐容性と症状の負担により判断される。一般にこの集団では,患者が耐えられるのであれば,RAAS阻害薬(ACE,ARB,またはARNI)を使用すべきである。

硝酸薬はHFrEF患者の心不全症状を単独で緩和でき,急性呼吸困難には舌下ニトログリセリンスプレーの頓用を,夜間または労作時呼吸困難にはパッチ剤を使用するよう患者を指導することが可能である。HFrEFでは,硝酸薬は安全かつ効果的で忍容性も良好であり,特に心不全と狭心症を呈する患者に役立つ。有害作用としては低血圧や頭痛などがある。HFpEFに対する一硝酸イソソルビドの試験(11)では,有害作用(例,頭痛)の増加および身体活動の減少との関連が示された。したがって,HFpEFでは長時間作用型硝酸薬のルーチンな使用は避けるべきである。

カルシウム拮抗薬などの他の血管拡張薬は,左室収縮機能障害の治療には使用されない。短時間作用型のジヒドロピリジン系(例,ニフェジピン)および非ジヒドロピリジン系(例,ジルチアゼム,ベラパミル)薬剤は有害となる可能性がある。一方,アムロジピンやフェロジピンの忍容性は良好であり,心不全に狭心症や高血圧を合併している患者に有用となりうる。どちらの薬剤も末梢浮腫を引き起こす可能性があり,まれに,アムロジピンは肺水腫を引き起こす。フェロジピンはグレープフルーツジュースとともに服用させてはならず,グレープフルーツジュースのチトクロムP450に対する代謝阻害作用により血漿中濃度の大幅な上昇と有害作用の有意な増加がもたらされる。HFpEFの患者では,高血圧または虚血を治療するために必要に応じてアムロジピンなどのジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を使用することができ,心房細動における心室拍数をコントロールするためには,ジルチアゼムやベラパミルなどジヒドロピリジン系以外の薬剤を使用することができる。肥大型心筋症には,しばしばベラパミルが使用される。

その他の薬剤

これまでに心不全に対して種々の陽性変力薬が評価されてきたが,ジゴキシンを除き,それらの薬剤は死亡リスクを上昇させる。この種の薬剤は作用機序により,アドレナリン作動性(ノルアドレナリンアドレナリン,ドブタミン,ドパミン)と非アドレナリン作動性(エノキシモン,ミルリノン,レボシメンダン[levosimendan][カルシウム感受性増強薬])に分けることができる。以前は外来患者への定期的な強心薬(例,ドブタミン)の静注が試されていたが,死亡率を上昇させることがわかったため,推奨されない。しかし,重度のHFrEF患者には,症状緩和を目的としたドブタミンやミルリノンなど強心薬の継続静注で対応が可能である。

ベルイシグアトは経口可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬であり,サイクリックグアノシン一リン酸(GMP)経路を増強し,また内因性一酸化窒素に対する可溶性グアニル酸シクラーゼの感受性を高めることにより,肺血管拡張を引き起こす。心不全の悪化の所見を有する症候性の慢性HFrEF患者を対象とした臨床試験では,ベルイシグアトにランダムに割り付けられた患者で心血管死亡率または心不全による入院率が低下したことが示された(12)。したがって,ベルイシグアトは心不全症状が悪化しているHFrEF患者の転帰を改善するための選択肢となりうる。

薬物治療に関する参考文献

  1. 1.Pitt B, Pfeffer MA, Assmann SF, et al: Spironolactone for heart failure with preserved ejection fraction.N Engl J Med 370:1383–1392, 2014.doi: 10.1056/NEJMoa1313731

  2. 2.Cleland JG, Tendera M, Adamus J, et al: The perindopril in elderly people with chronic heart failure (PEP-CHF) study.Eur Heart J 27:2338–2345, 2006.doi: 10.1093/eurheartj/ehl250

  3. 3.Yusuf S, Pfeffer MA, Swedberg K, et al: Effects of candesartan in patients with chronic heart failure and preserved left-ventricular ejection fraction: the CHARM-Preserved Trial.Lancet 362:777, 2003.doi: 10.1016/S0140-6736(03)14285-7

  4. 4.Massie BM, Carson PE, McMurray JJ, et al: Irbesartan in patients with heart failure and preserved ejection fraction.N Engl J Med 359:2456–2467, 2008.doi: 10.1056/NEJMoa0805450

  5. 5.McMurray JJ, Packer M, Desai AS, et al: Angiotensin-neprilysin inhibition versus enalapril in heart failure.N Engl J Med 371:993–1004, 2014.doi: 10.1056/NEJMoa1409077

  6. 6.Solomon SD, McMurray JJ, Anand IS, et al: Angiotensin-neprilysin inhibition in heart failure with preserved ejection fraction.N Engl J Med 381:1609–1620, 2019.doi: 10.1056/NEJMoa1908655

  7. 7.McMurray JJV, Jackson AM, LAM CSP, et al: Effects of sacubitril-valsartan Versus valsartan in women compared with men with heart failure and preserved ejection fraction: Insights From PARAGON-HF.Circulation 41(5):338–351, 2020.doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044491

  8. 8.Swedberg K, Komajda M, Bohm M, et al: Ivabradine and outcomes in chronic heart failure (SHIFT): a randomised placebo-controlled study.Lancet 376(9744):875–885, 2010.doi: 10.1016/S0140-6736(10)61198-1

  9. 9.McMurray JJV, Solomon SD, Inzucchi SE, et al: Dapagliflozin in patients with heart failure and reduced ejection fraction.N Engl J Med 381(21):1995–2008, 2019.doi: 10.1056/NEJMoa1911303

  10. 10.Anker SD, Butler J, Filippatos G, et al: Empagliflozin in heart failure with a preserved ejection fraction.N Engl J Med 385(16):1451-1461, 2021.doi: 10.1056/NEJMoa2107038.Epub 2021 Aug 27.PMID: 34449189.

  11. 11.Redfield M, Anstrom KJ, Levine JA, et al: Isosorbide mononitrate in heart failure with preserved ejection fraction.N Engl J Med 373:2314–2324, 2015.doi: 10.1056/NEJMoa1510774

  12. 12.Armstrong PW, Pieske B, Anstrom KJ, et al: Vericiguat in patients with heart failure and reduced ejection fraction.N Engl J Med 382(20):1883–1893, 2020.doi: 10.1056/NEJMoa1915928

より詳細な情報

以下は有用となりうる英語で記載された心不全の主なガイドラインである。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. McDonagh TA, Metra M, Adamo M, et al: 2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure: Developed by the Task Force for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure of the European Society of Cardiology (ESC) with the special contribution of the Heart Failure Association (HFA) of the ESC.Eur Heart J 42(36):3599-3726, 2021.doi: 10.1093/eurheartj/ehab368

  2. Heidenreich PA, Bozkurt B, Aguilar D, et al: 2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure: A report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines.Circulation 145:e876–e894, 2022, doi: 10.1161/CIR.0000000000001062

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