頻尿

執筆者:Geetha Maddukuri, MD, Saint Louis University
レビュー/改訂 2022年 12月
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頻尿とは日中,夜間(夜間頻尿),またはその両方で多数回の排尿が必要になる状態であるが,尿量は正常であるか,正常より減少する。頻尿には急激な感覚(尿意切迫)を伴う場合もある。頻尿は尿量が3L/日を超えて増加した状態である多尿とは区別される。

頻尿の病態生理

頻尿は通常,下部泌尿生殖器の疾患によって引き起こされる。膀胱,尿道,またはその両方の炎症は尿意を引き起こす。しかしながら,この感覚は膀胱からの尿の排出によって緩和されないため,膀胱が空になった後も患者は引き続き排尿を試みるが,ごく少量の尿が排出されるのみである。

頻尿の病因

頻尿には多くの原因があるが(頻尿の主な原因の表を参照),最も一般的なものとしては以下のものがある:

表&コラム
表&コラム

頻尿の評価

病歴

現病歴の聴取では,頻尿と多尿を鑑別するために水分の摂取量と排泄量を最初に尋ねるべきである。頻尿が認められる場合は,発症がどの程度急性であったかと,刺激症状の有無(例,刺激感,尿意切迫,排尿困難),閉塞症状(例,排尿遅延,尿勢低下,残尿感,夜間頻尿),および最近の性的接触について患者に質問する。

システムレビュー(review of systems)では,原因を示唆する症状を対象に含めるべきであり,具体的には発熱,側腹部痛または鼠径部痛,血尿(感染症),無月経,乳房の腫脹,つわり(妊娠),関節炎および結膜炎(反応性関節炎)などが挙げられる。

既往歴の聴取では,前立腺疾患と骨盤に対する放射線療法または手術の既往など,既知の原因について尋ねるべきである。使用薬剤および食習慣を確認して,排尿量を増加させる物質(例,利尿薬,アルコール,カフェイン飲料)の使用がないか確認する。

身体診察

診察では泌尿生殖器系に焦点を置く。

尿道分泌物や性感染症と一致する病変がないかに注意する。男性の直腸診では,前立腺の大きさおよび硬さと直腸の緊張に注意すべきであり,女性の内診では,膀胱瘤の有無に注意すべきである。尿漏れの徴候について尿道を観察する際には,患者に咳をするよう指示すべきである。

肋骨脊柱角を触診して圧痛がないか確認すべきであり,また腹部診察では,何らかの腫瘤または恥骨上部の圧痛の有無に注意すべきである。

神経学的診察では,下肢の筋力低下と感覚消失について検査すべきである。

警戒すべき事項(Red Flag)

以下の所見には特に注意が必要である:

  • 下肢の筋力低下または脊髄損傷の徴候(例,分節レベルでの感覚消失,肛門括約筋の緊張消失,肛門括約筋反射の消失)

  • 発熱および背部痛

所見の解釈

排尿困難は頻尿の原因が尿路感染症(UTI)または結石であることを示唆する。骨盤内手術の既往は尿失禁を示唆する。尿勢低下,夜間頻尿,またはその両方の存在は前立腺肥大症を示唆する。他の点では健康な若年患者における頻尿は,アルコールまたはカフェイン飲料の過剰摂取が原因のことがある。肉眼的血尿は,若年患者ではUTIと結石を示唆し,高齢患者では泌尿生殖器癌を示唆する。

検査

全ての患者に尿検査と培養が必要であるが,いずれも容易に行え,感染および血尿を検出することができる。

膀胱炎,下部尿路閉塞,および膀胱瘤を診断するために,膀胱鏡検査,膀胱内圧測定,および尿道造影を施行することができる。前立腺肥大症前立腺癌と鑑別するため,特に高齢男性では,前立腺特異抗原値の測定,超音波検査,および前立腺生検が必要になる場合がある。

頻尿の治療

治療は原因により異なる。

老年医学的重要事項:頻尿

高齢男性の頻尿は,前立腺腫大または前立腺癌に続発した膀胱頸部閉塞が原因である場合が多い。このような患者には通常,排尿後の残尿量を測定するための膀胱超音波検査が必要である。男女ともに,尿路感染症または利尿薬の使用が原因の場合がある。

要点

  • 小児と女性で最も頻度の高い原因はUTIである。

  • 50歳以上の男性では,前立腺疾患が原因であることが多い。

  • カフェインの過剰摂取は健常者で頻尿の原因となることがある。

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