排尿の概要

執筆者:Patrick J. Shenot, MD, Thomas Jefferson University Hospital
レビュー/改訂 2021年 10月
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    排尿障害は尿の蓄積または放出が障害されて発生するが,その理由は,これらがともに神経および尿路の同じ機序によって制御されているためである。その結果,尿失禁または尿閉が発生する。

    排尿機能が正常であるためには,自律神経系および随意神経系が完全であり,かつ尿路の筋肉が機能しなくてはならない。正常では,膀胱が充満すると膀胱壁の伸展受容器が刺激され,脊髄神経S2~S4から脊髄,そして感覚野へとインパルスが送られ,尿意が知覚される。容量の閾値は個人間で異なり,これが尿意を認識させる。一方,膀胱出口部の外尿道括約筋は随意神経の制御下にあり,通常は排尿の意思が定まるまで収縮している。

    前頭葉の排尿中枢も排尿制御に関与している。排尿の意思が定まると,運動皮質内の随意神経のシグナルによって排尿が開始される。そのインパルスは脳橋の排尿中枢に伝達され,そこでは膀胱全体の平滑筋(排尿筋)を収縮させるシグナル(副交感神経のコリン作動性神経線維経由)と,内尿道括約筋(α交感神経線維経由)ならびに横紋筋である外尿道括約筋および骨盤底筋を弛緩させるシグナルが同時に調整される(正常な排尿は膀胱収縮と尿道括約筋の弛緩が協調することで起こるの図を参照)。正常な排尿機能に加えて,尿禁制と正常な排尿を維持するには,正常な認知機能(意欲を含む),歩行,トイレへの移動,および手の器用さが必要となる。

    排尿に関与するいずれかの要素に損傷または機能障害があると,尿失禁または尿閉が起こりうる。

    正常な排尿は膀胱収縮と尿道括約筋の弛緩が協調することで起こる

    中枢神経系は,しかるべき時期まで排尿を抑制するとともに,下部尿路からの入力を調整および促進して排尿の開始および完了を制御する。交感神経系は平滑筋である括約筋を収縮させる。副交感神経系は膀胱排尿筋をコリン作動性線維を介して収縮させる。体性神経系は横紋筋の括約筋を外陰神経のコリン作動性線維を介して収縮させる。(Adapted from DuBeau CE, Resnick NM with the Massachusetts Department of Health EDUCATE project collaborators: Urinary Incontinence in the Older Adult: An Annotated Speaker/Teacher Kit, 1993; used with permission of the authors.)

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