妊娠することで、女の人の体にはさまざまな変化が起こります。おなかが大きくなることなど、あたりまえの変化で、予想できることもあります。また、問題があることを意味するかもしれない変化もあります。妊娠中の体の変化のほとんどは、出産した後にはなくなります。
どんな体の変化に注意が必要ですか?
妊娠の初期には、どんな体の変化がありますか?
妊娠のごく初期には、次の症状がみられることがあります:
極度の疲れ
気分の変動
頻繁に排尿したくなり、排尿をしたい感覚が強くなる
乳房が張り、さわると痛む
おりものが増える
つわり
妊娠中の吐き気や嘔吐は、とてもよくあることです。これは、あなたの体の妊娠ホルモンが原因です。つわりのときには、1日のうちいつでも吐き気や嘔吐がみられることがあります。あまりにも頻繁に嘔吐し、嘔吐がある期間も長いため、薬や輸液(水分を直接静脈に入れます)が必要になる妊婦さんもいます。
つわりをやわらげるには、次のことを試してみてください:
食べる量を少なくして回数を多くする
おなかが減っていると気づく前に食べる
米やパスタなどの味のうすい食べものを食べる
クラッカーをベッドのそばに置き、起きる前に少し食べられるようにしておく
胸やけ
胸やけ(胸の焼けつくような痛み)は妊娠中によくみられます。胸やけは、胃酸が食道(口から胃に食べものを送るための管)に逆流することで起こります。
胸やけをやわらげるには、次のことを試してみてください:
1回の食事の量を少なくする
食べたの後の数時間は横にならない
カフェイン、タバコ、お酒、アスピリンを避ける
液状の制酸薬を飲む
胸やけによってあなたの睡眠が妨げられてしまう場合には、次のことを試してみてください:
寝る前の数時間は食べないようにする
枕をいくつか使って頭を上げるか、ベッドの頭側を高くする
妊娠の後期には、どんな体の変化がありますか?
妊娠の後期には、特に疲れることがあります。次のような体の変化があるかもしれません:
息切れ
鼻がつまる
関節がゆるむ
乳首から黄色や白色の液体が出る
背中の痛み
おなかが大きくなるにつれて、その重さとのバランスをとるために背骨が曲がってきます。
背中の痛みをやわらげ、けがを避けるには:
重いものを持ち上げないようにします。
腰をかがめずに膝を曲げます。
よい姿勢を保つようにします。
底が平らで、しっかりと足を支えられるようなくつをはきます。
妊婦用の腹帯やガードルを使います。
静脈瘤
妊娠中に乳房はどのように変化しますか?
あなたの乳房は大きくなり、さわると痛みを感じるかもしれません。
乳首のまわりの皮膚は黒くなります。
妊娠の終わりごろ、初乳というサラサラしていて黄色っぽい、または乳白色の液体が乳首から出てきます。この液体には抗体とミネラルがたくさん含まれています。これは母乳で育てられる赤ちゃんの、最初の食べものになります。
妊娠中に皮膚はどのように変化しますか?
DR P.MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY
妊娠ホルモンによって、皮膚の見た目が変わることがあります。このような変化の多くは、出産した後になくなるか、目立たなくなります。
皮膚には次のような変化があるかもしれません:
おでこやほっぺたの茶色っぽいしみ(肝斑)
乳首のまわりの皮膚の黒ずみ
おなかに濃い色の線ができる
おなかの妊娠線
小さくて赤いクモのようなもよう(くも状血管腫)
妊娠しているときだけにできる、強いかゆみのある発疹(ふつうは第2トリメスターか第3トリメスターで起こる【訳注:それぞれ日本でいう妊娠中期と後期にほぼ相当】)