脊椎とは何ですか？
脊椎とは背骨のことです。背骨は実際には、椎骨という24個の骨と尾骨（仙骨）が長くつながったものです。椎骨は頭蓋骨の下から始まって、骨盤まで、下の方に続いています。椎骨は体重の大部分を支えています。
それぞれの椎骨の間には、椎間板という、軟骨でできた小さな板があります。その軟骨は、ゴムのようにやわらかく、椎骨と椎骨の間でクッションのような働きをして、脊椎が曲がるようにしています。
それぞれの椎骨には穴が開いています。それらの穴が並んで、脊椎全体にわたる脊柱管というトンネルをつくっています。脊柱管の中には脊髄があります。脊柱管と椎骨は、脊髄が傷つかないように守っています。
脊椎は上から下まで4つの部分に分けられます。それぞれの部分は、アルファベット1文字で表されます。
C（頸椎）：首にある7個の椎骨
T（胸椎）：背中の上の方にある、肋骨につながる12個の椎骨
L（腰椎）：腰にある5個の椎骨
S（仙椎）：5個の椎骨が合わさって仙骨という1つの骨になっていて、脊椎と骨盤をつないでいる
脊椎の各部分の椎骨には、上から順に番号が付けられています。医師は、脊椎の異常について話をするとき、異常がある椎骨をアルファベットと番号で示します。たとえば、5番目の腰椎に異常がある場合、医師はその位置を「L5」と言うことがあります。
脊椎の成り立ち
脊椎（脊柱）は、椎骨と呼ばれる複数の骨が連なってできています。長くて傷つきやすい脊髄は、脊椎の中心を通る脊柱管という空間の中にあって、周りの椎骨によって守られています。椎骨と椎骨には、椎間板という軟骨でできた板があり、それが脊椎のクッションとして働き、脊椎がいくらか曲がるようにしています。 脊髄神経：脊髄からは、椎骨と椎骨の間を通って、31対の脊髄神経が出ています。それぞれの脊髄神経は、根元のところで2本の短い枝（神経根）に分かれています。 運動神経根は、脳と脊髄からの命令を体のほかの部分、特に骨格筋に伝えます。 感覚神経根は、体のほかの部分からの情報を脳に伝えます。 馬尾：脊髄は脊椎の上から4分の3の高さで終わっていますが、そこから下に向けて神経の束が1本のびています。この神経の束は、馬のしっぽに似た形をしているため、馬尾と呼ばれています。馬尾は、脚に行き来する神経の信号の通り道になっています。 |
脊髄とは何ですか？
脊髄は、脳から出て、脊椎の中（脊柱管）を下に向かってのびる神経の太い束です。脊髄は、脳と体のほかの部分を行き来する信号が伝わる、電気ケーブルのようなものです。
脳から出る信号は、腕や脚を動かすなど、体に何かをするよう命令するための信号です。
脳に送られる信号は、その人が何にさわっているかや、どこに痛みがあるかなど、体からの情報を伝えるための信号です。
脊髄はとても傷つきやすく、そのため、脊柱管の中で守られています。
脊髄神経とは何ですか？
脊髄神経は、脊髄と体のさまざまな部分に向かう細い神経をつないでいる、中くらいの太さの神経です。
椎骨と椎骨の間のすき間には、脊髄に出入りする31対の脊髄神経があります。それぞれの脊髄神経は、脊髄の決まった場所から、全身の決まった場所へとのびています。そのため、たとえば、あなたが皮膚のある場所をさわると、そこに対応する脊髄神経から脳に信号が伝わることで、あなたはそこをさわったと感じることができます。
脊椎と脊髄の病気にはどのようなものがありますか？
脊椎の病気
脊椎は、交通事故、ころぶこと、暴行、スポーツ中のけがなどによって、傷つくことがあります。けがによって、脊椎の骨が折れたり（脊椎骨折）、位置がずれたり（脱臼）することがあります。脊椎の骨をつないでいる靱帯がさけてしまうこともあります。椎間板がやぶれることもあります。
脊椎の病気は、いつもけがによって起こるとは限りません。ときには、脊椎の骨に感染が起きることもあります（骨髄炎）。がんが脊椎の骨に広がることもあります。
脊椎の病気が脊髄にも影響を与えることがあります。
脊髄の病気
脊髄の病気は、脊髄が傷ついたり、ダメージを受けたりすることで起きます。脊椎にも問題がある場合もあれば、ない場合もあります。
脊髄の病気の原因は何ですか？
一部の脊髄の病気は、次のような、脊髄が傷つくけがによって引き起こされます：
一部の脊髄の病気は、次のような脊髄に異常を起こす別の病気によって引き起こされます：
脊髄の病気にはどのような症状がありますか？
脊髄が傷ついていると、その部分を通っている神経は正しく働かなくなります。ふつう、脊髄の病気は次の症状を引き起こします：
筋肉に力が入らなくなったり、麻痺（体の一部をまったく動かすことができない状態）が起きたりする
痛みや、さわられた感覚を感じなくなる
排尿や排便をがまんできない（失禁）
勃起障害（男の人が勃起をすることや、勃起を保つことが難しくなること）
脊髄から出た神経は傷ついた場所までは問題がないため、現れる症状は、脊髄の傷ついている場所によって変わってきます。たとえば、腰の位置で脊髄が傷つくと、脚が動かせなくなったり、脚の感覚がなくなったりすることがありますが（痛みを感じない、誰かがさわってもわからないなど）、その場合でも、腕はふつうに使えます。しかし、首の位置で脊髄が傷つくと、腕と脚の両方に異常が起きることがあります。首の高い位置で脊髄が傷つくと、呼吸ができなくなることがあります。脊髄のどの部分が傷ついたかに関係なく、排尿や排便をがまんできなくなったり、性的な機能が失われたりすることがあります。
脊椎の骨、靱帯、椎間板、または脊髄神経が傷ついている場合、ふつうは首や背中に痛みが出ます。
もし次の症状があるなら、すぐに救急医療機関に行ってください。：
突然、体の一部の感覚がなくなる
片方または両方の腕や脚に力が入らない
排尿や排便をするタイミングをコントロールできない
麻痺が起きる場合、最初は筋肉に力が入らなくなります。しばらく麻痺が続くと、筋肉が使われていないために、固くなります。腕や脚が固くなりすぎて、人が押しても曲げられなくなることがあります。
麻痺がある場合や、ベッドから出られない場合には、次のような、ほかの病気になる危険性が高くなります：
脊髄の病気のせいで、気分が落ちこんだり、自尊心がなくなったりすることもあります。
医師はどのようにして、私が脊髄の病気かどうかを判断しますか？
医師は脊髄の病気をどのように治療しますか？
脊髄の病気の原因が治療できる場合は、医師はそれを治療します。
次の治療でよくなる人もいます：
手術：腫瘍を取り除いたり、骨折を治したりする
理学療法：運動をして筋力を強くしたり、体をやわらかくしたりする、筋肉のけいれんをコントロールする方法を身につける、装具、歩行器、車いすなどの使い方を学ぶ
作業療法：脊髄の病気があってもふつうの生活を送る方法を身につける
もし脊髄の病気に対処するのに苦労しているなら、カウンセラーに相談することが助けになるかもしれません。
