脳とはどのような臓器ですか？
脳は、コンピュータの中央処理装置に似ています。
脳は目や耳、鼻などの感覚器官から情報を受け取ります。そして情報を処理し、考えやアイデアを生み出し、体のほかの部分にメッセージを送ります。たとえば、脳が筋肉にどう動くか命令することで、人は歩いたり、話したり、体を思いどおりに動かしたりすることができます。また脳は、あなたが何も考えなくても、体のたくさんの機能をコントロールしています。たとえば、脳は呼吸、心拍数、血圧を自動的に整えています。
人が動いたり、話をしたり、味わったり、においをかいだり、音を聞いたり、ものを見たりすることができるのは、すべて脳のおかげです。
脳が働くには、たくさんの血液と酸素が必要で、つねに、心臓から出ていく血液のおよそ20％が脳に送られています。
脳への血液の流れが10秒以上止まると、人は気を失います。
脳の構造
脳は大脳、脳幹、小脳でできています。大脳は左右で半分（半球）に分かれていて、それぞれが脳葉という小さな部分に分かれています。 |
脳にはどのような部分がありますか？
脳は頭蓋骨の中にあり、その周りには液体が流れていて、それが脳のクッションとして働いたり、脳を支えたりしています。この液体を髄液といいます。この液体は、髄膜という3層の膜の中で、脳の周りに保たれています。
脳は大きく次の3つの部分に分けられます：
大脳：脳の上の方にある主要な部分で、脳葉という複数の部分に分かれていて、それらの脳葉が思考、運動、会話、記憶、感情、すべての感覚をコントロールしています。
脳幹：脊髄とつながっている脳の一番下の部分で、意識、呼吸、血圧、心臓の動きなど、体の大切な働きをコントロールしています。
小脳：脳幹のすぐ上にある別の部分で、体のバランスと協調運動をコントロールしています。
大脳は左右半分の2つの部分に分かれています。左半分は体の右側を、右半分は体の左側をコントロールしています。そのため、脳の左側に脳卒中が起きると、体の右側を動かせなくなります。
脳を覆っている組織
頭蓋骨の中で、脳は髄膜という3層の組織におおわれています。 |
脳はどのような仕組みで働いていますか？
脳は次のものでできています：
神経細胞とその線維
脳には何百億個もの神経細胞があります。
それぞれの神経細胞には、顕微鏡でしか見えないほど小さな細胞の本体部分が1つだけあります：
神経細胞の本体部分は、栄養を処理して、細胞が生きていけるようにする働きをしています。
それぞれの神経細胞の本体部分には、次のように、細胞に入ってくる線維と、細胞から出ていく線維があります：
信号が入ってくる線維は、ほかの神経細胞や感覚器官の受容器という部分から出る信号を受け取ります。
信号を出す線維は、脳や脊髄にあるほかの神経に信号を送ります。
信号は神経細胞の中を一つの方向にだけ伝わります。
神経線維とそれを信号が伝わる仕組みは、ケーブルに電気信号が伝わるのとよく似ていますが、まったく同じというわけではありません。実際には、神経細胞は化学物質を使って、信号を送ります。
神経線維に沿って、次々と化学変化が起こるのです。
化学変化が神経線維の先まで届くと、神経伝達物質という別の化学物質が放出されます。
神経伝達物質は、顕微鏡でしか見えないほど小さなすき間を、ただようように通過していき、別の細胞の受容体という部分にぶつかります。
神経伝達物質は、その細胞に化学変化を引き起こします。
その細胞が神経細胞なら、その細胞の線維に沿って、また次々と化学変化が起きていき、それにより信号が伝わります。
1つの神経細胞が送れる信号は1種類だけで、たくさんの情報を伝えることはできません。しかし、脳のように何百億もの神経細胞がつながりあうと、とても性能の高い情報処理装置のように機能することができます。
