腎性尿崩症じんせいにょうほうしょう

「腎じん」は腎臓じんぞうのことを指さし、「腎性じんせい」とは腎臓じんぞうに原因げんいんがあることを意味いみします。腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうは、尿にょうがすごく大量たいりょうに出でて、のどがとても渇かわくようになる、腎臓じんぞうの病気びょうきです。

正常せいじょうなときは、腎臓じんぞうが体内たいないの水分量すいぶんりょうのバランスをとっているため、体内たいないでは適切てきせつな水分量すいぶんりょう（水みず収支しゅうし）が保たもたれています。しかし、腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうになると、排尿はいにょうによって水分すいぶんがあまりにも多おおく失うしなわれます。

• 腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうは、生うまれてすぐに始はじまることもあれば、後あとになって始はじまることもあります。

• 1日にちに4～24リットルもの、大量たいりょうの尿にょうが出でるようになります。

• 排尿はいにょうの量りょうがあまりに多おおいために、のどが渇かわき、水みずなどをたくさん飲のんでしまいます。

• 尿にょうが出でる量りょうと水みずを飲のむ量りょうがあまりに多おおくなると、体内たいないでの塩分えんぶんやミネラル（電解質でんかいしつ）のバランスがくずれてしまいます。

• 体からだの中なかにある水分すいぶんが減へりすぎてしまう可能性かのうせいがあります（脱水だっすい）。

• 医師いしはあなたに、水分すいぶんを十分じゅうぶんにとり、塩分えんぶんやタンパク質しつを多おおくとりすぎないよう指示しじします。

• ときには、薬くすりが役立やくだつこともあります。

腎臓じんぞうの問題もんだいではなく、脳のうの問題もんだいによって引ひき起おこされるタイプの尿崩症にょうほうしょうもあります。そのような尿崩症にょうほうしょうは中枢性尿崩症ちゅうすうせいにょうほうしょうといいます。どちらのタイプの尿崩症にょうほうしょうも糖尿病とうにょうびょうとは関係かんけいなく、糖尿病とうにょうびょうは高血糖こうけっとうが起おきる病気びょうきです。ただし、高血糖こうけっとうになっても、尿にょうの量りょうが多おおくなります。

腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうは、バソプレシンというホルモンに対たいして腎臓じんぞうが反応はんのうしなくなることで起おこります。バソプレシンは腎臓じんぞうに対たいして、水分すいぶんをたくわえ、尿にょうを出だす量りょうを減へらすように働はたらきかけます。腎臓じんぞうがバソプレシンに反応はんのうしなくなると、尿にょうの量りょうが増ふえすぎてしまいます。

腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうの原因げんいんには次つぎのものがあります：

• 生うまれつきある遺伝的いでんてきな問題もんだい

• リチウムなど、特定とくていの薬くすりを飲のんでいること

• 多発性嚢胞腎たはつせいのうほうじん、鎌状赤血球かまじょうせっけっきゅう貧血ひんけつ、シェーグレン症候群しょうこうぐんなど、腎臓じんぞうに影響えいきょうを与あたえる病気びょうき

腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうには次つぎのような症状しょうじょうがあります：

• のどが渇かわいているように感かんじる

• 大量たいりょうの排尿はいにょう（多おおいときは1日にちに24リットル）

あるタイプの腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうでは、生うまれてすぐに症状しょうじょうが始はじまることがあります。赤あかちゃんが重おもい脱水だっすい状態じょうたいになり、次つぎのような症状しょうじょうが現あらわれることがあります：

• 発熱はつねつ

• 嘔吐おうと

• けいれん発作ほっさ

あなたのお酒さけを飲のむ量りょうや排尿はいにょうの量りょうが多おおい場合ばあい、医師いしは腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうを疑うたがいます。確たしかめるために、医師いしは次つぎのことをします：

• 血液検査けつえきけんさ

• 尿検査にょうけんさ

ときには、医師いしが水みず制限せいげん試験しけんという検査けんさをすることもあります。

腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうを治療ちりょうするために、医師いしはあなたに次つぎのことをするよう指示しじします：

• のどが渇かわいたら、すぐに水みずを飲のむ。腎性尿崩症じんせいにょうほうしょうがある赤あかちゃん、子こども、高齢こうれいの人ひとには、頻繁ひんぱんに水みずを与あたえる

• 塩分えんぶんとタンパク質しつが少すくない食たべものを食たべるようにする

• ときには、腎臓じんぞうがナトリウムと水分すいぶんを再吸収さいきゅうしゅうするのを助たすける薬くすりを飲のんで、尿にょうの量りょうを減へらす