毛包炎
毛包炎とはどのような病気ですか?
Image provided by Thomas Habif, MD.
毛包とは、皮膚から毛が生えてくるところです。毛包炎とは、毛包に起きた炎症または感染症のことです。感染が原因の場合は、とても小さな皮膚膿瘍の一種です。
毛包炎はふつう、細菌の感染によって引き起こされます。
毛をそった後に、かたい毛の先が皮膚の中に入りこんでしまい(埋没毛)、感染のない毛包炎を引き起こすこともあります。
「温浴毛包炎」とは、温かいおふろやジェットバスの中で増えることのできる、一部の細菌によって引き起こされる毛包炎です。
毛包炎は、毛の根元にできる、赤色か白色の小さなふき出物のような見た目をしています。
感染した毛包には、かゆみやわずかな痛みが出ます。
毛包炎はふつう、抗菌薬のローションやジェルで治ります。
毛包炎の原因は何ですか?
ほとんどの種類の毛包炎は、細菌によって引き起こされ、ふつうはブドウ球菌という細菌が原因です(ブドウ球菌感染症)。ほかの種類の細菌や真菌も、毛包炎を引き起こすことがあります。
毛包炎はふつう、スポーツ用具を着けていた部分や、おしりなど、皮膚がしめっていたり、こすれて刺激を受けたりした場所にできます。または、あなたが次のことに当てはまる場合に、毛包炎が起きることがあります:
皮膚にけがをしている
にきびなど、皮膚に特定の病気がある
粘着テープやゴム手ぶくろで皮膚をおおっていなければならない
免疫の働きを弱める病気があるか、免疫の働きを弱める薬を使っている
毛包炎にはどのような症状がありますか?
毛包の部分に、小さな赤色または白色のふき出物ができます。
そのふき出物に、かゆみや、わずかな痛みが出ることもあります。
感染が起きた毛包は、1つのだけの場合もあれば、たくさんある場合もあります。
感染が起きた毛包が大きく、深くなると、皮膚膿瘍(おでき)になることがある
医師は毛包炎をどのように治療しますか?
医師はあなたに、次のように指示することがあります:
抗菌石けんで体を洗う
1日に何回か、温かい塩水でぬらしたタオルを毛包炎のある部分にあてる
皮膚に抗菌薬のクリームをぬる
感染した毛包が広い範囲にある場合は、抗菌薬を飲む
埋没毛が何度もできている場合は、医師があなたに、次のように指示することがあります:
しばらく毛をそるのをやめる
毛包に感染が起きている場合は、抗菌薬を飲む
温浴毛包炎は自然に治ります。ほかの人が毛包炎になるのを予防するために、おふろの塩素のこさを確認して調整するようにします。
皮膚膿瘍
皮膚膿瘍とは何ですか?
皮膚膿瘍とは、皮膚の中にできる、うみがたまった空洞のことです。うみは、体が感染から身を守るときにつくられる、ドロドロした液体です。体内に膿瘍ができることもあります。
皮膚膿瘍は、細菌が感染することによって引き起こされ、ふつうはブドウ球菌という細菌が原因です(ブドウ球菌感染症)。
ときに、皮膚のやぶれたところや、毛包(毛が生えてくるところ)から、細菌が入ってくることがあります。
膿瘍とは、中がうみで満たされている、痛みのあるふくらみです。
医師は、膿瘍を切り開いてうみを出し、さらに、あなたに抗菌薬を出すこともあります。
MRSAという種類のブドウ球菌は、ふつうの薬では死なないため、特別な抗菌薬が必要になることがあります。
皮膚膿瘍には、特別な種類のものが2つあります:
せつ(おでき):毛包の周りにできる皮膚膿瘍
よう:皮膚の深い部分で、2つ以上のせつがつながったもの
皮膚膿瘍から細菌が広がって、体のほかの組織や臓器に広がることもあります。
感染が血液の流れに入ると、高熱が出たり、血圧が低下したり、臓器不全になったりすることがあります(敗血症)。
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皮膚膿瘍は、原因が分からないまま何度もできることがあります。
皮膚膿瘍の原因は何ですか?
皮膚膿瘍は、細菌が感染することによって引き起こされ、ふつうはブドウ球菌が原因です(ブドウ球菌感染症)。MRSAという種類のブドウ球菌は、多くの抗菌薬にたえることができ、治療が難しくなることがあります。
あなたが次のことに当てはまる場合は、あなたは感染する可能性がほかの人よりも高いです:
混み合った場所で生活している
慢性の(長い間続く)皮膚の病気がある
すでに鼻の中にこの細菌がいる
免疫の働きが弱っている
体重がとても重すぎる
高齢者である
糖尿病がある
皮膚膿瘍にはどのような症状がありますか?
皮膚膿瘍は、体のどこにでもできます。
赤く腫れたふくらみで、強い痛みがあり、さわるととても痛みます。
せつは、赤色でつやがあり、大きさはふつう、約2.5センチメートル未満です。
せつではない膿瘍は、最大で5~8センチメートルくらいまで大きくなることがあります。
治療をしないと、膿瘍が大きくなり、やぶれて、うみが出てきます。
熱が出たり、具合が悪くなったりすることもあります。
医師は皮膚膿瘍をどのように治療しますか?
膿瘍が小さい場合、医師はあなたに、温かい布や湯たんぽなどで膿瘍を軽く温めるように指示します。それで効果がない場合は、医師は次のことをします:
皮膚膿瘍を切り開いて、うみを出す
うみがたまった空洞を食塩水で洗い流す
医師はまた、空洞にガーゼを1~2日間入れて空洞が開いたままにしておくことで、うみが出続けるようにすることがあります。
ほとんどの皮膚膿瘍には、抗菌薬は必要ありません。しかし、次の場合には、医師があなたに抗菌薬を出すことがあります:
皮膚膿瘍が何度もできる場合は、医師は次のことをします:
あなたに自分の皮膚を抗菌石けんで洗わせる
あなたに1~2カ月間、抗菌薬を出す