「セリアック」とは、消化管のように、お腹の中にあるものを指す言葉です。消化管は、口から肛門まで続いている管です。消化管には、食道、胃、小腸、大腸が含まれます。小腸は、食べたものが吸収されるところです。
セリアック病とはどのような病気ですか?
セリアック病は、食べものに含まれる栄養素がしっかり吸収されなくなる、小腸の病気です。栄養素の種類としては、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルなどがあります。栄養素が吸収されない状態を吸収不良といいます。必要な栄養素をとれていないことを栄養障害といいます。
セリアック病は、家族の中で遺伝する自己免疫疾患です。
この病気では、グルテンというタンパク質を含んでいるものを食べると症状が現れますが、グルテンは小麦、大麦、ライ麦や、これらの穀物で作られた食べものに含まれています。
症状としては、とてもくさく、あぶらっぽい下痢、疲れを感じる、体重が減るなどがあります。
子どもの場合は、成長が遅くなります。
この病気を治せる治療法はありませんが、セリアック病の人は、グルテンが入っていない食事を食べるようにすることで、症状が出ないようにすることができます。
セリアック病の原因は何ですか?
セリアック病は、自己免疫疾患という種類の病気です。病気や感染から体を守るための仕組みを、免疫系といいます。自己免疫疾患になると、免疫系が自分の体の一部を攻撃するようになります。
セリアック病では、一部の穀物に含まれているグルテンというタンパク質に、免疫系が反応します。
その免疫反応によって、小腸の表面を傷つける抗体ができます。
腸の表面が傷つくと、食べものに含まれる栄養素を吸収できなくなります。
吸収されない脂肪のせいで、あぶらぎった便が出るようになります。
吸収されないほかの栄養素によって、おならがたくさん出たり、下痢になったりします。
グルテンは、小麦や、小麦粉から作られたすべての食べものに含まれるタンパク質です。つまり、グルテンはパンやパスタ、たくさんの焼き菓子にも含まれています。大麦とライ麦にも、グルテンがいくらか含まれています。オーツ麦など、そのほかの穀物にはグルテンは含まれていません。野菜や果物には、グルテンは含まれていません。
セリアック病は家族の中で遺伝します。この病気になりやすい体質が受けつがれますが、実際にこの病気にかかるのは、家族の中の一部の人だけです。
セリアック病にはどのような症状がありますか?
症状は子どものころに始まることもあれば、大人になるまで現れないこともあります。
よくある症状には次のものがあります:
お腹が減らない
下痢(たいていは便があぶらぎって見えます)
お腹がふくれる感じがして、おならがたくさん出る
疲れを感じ、体重が減る
子どもは成長しているので、子どもの場合、栄養障害による問題が起きやすいです。子どもでは、爪が正常にのびなかったり、身長が低かったり、体重が軽かったりすることもあります。女の子では、生理が来ないことがあります。
ビタミンやミネラルが十分に吸収されないと、次のことが起こります:
貧血(血液の細胞が少なくなること)
口内炎と舌の腫れ
骨が細くなり、折れやすくなる
腕や脚に、ピンや針で刺されるようなチクチクした感覚(しびれ)がする
そのほかの症状としては次のものがあります:
痛みとかゆみのある発疹と小さな水ぶくれ(疱疹状皮膚炎)
体の中の水分が増えすぎることによる脚のむくみ
なかなか妊娠できない
セリアック病の人には、クローン病、1型糖尿病、甲状腺疾患やそのほかのホルモンの病気、関節リウマチなど、ほかの免疫系の病気も起きることがあります。
医師はどのようにして、私がセリアック病かどうかを判断しますか?
医師は次のような検査をします:
グルテンに対する抗体がないか調べるための血液検査
小腸の生検
場合により遺伝子検査
生検では、内視鏡(体の中を見るためのやわらかい管)の先に付けた器具を使って、医師が組織を小さく切り取り、その組織を顕微鏡で見て調べます。
医師はセリアック病をどのように治療しますか?
おもな治療は、
グルテンを含む食べものを食べないようにすることです。
少しだけのグルテンでも問題が起きる可能性があります。
グルテンを食べないようにするのは、難しいかもしれません。グルテンが含まれるものは、パン製品だけではありません。一部のスープやソース、アイスクリーム、ホットドッグなど、たくさんの加工食品にも含まれています。グルテンが入っていない食事については、栄養士や、セリアック病財団(Celiac Disease Foundation)などのセリアック病のサポートグループから教えてもらえます。
セリアック病はまた、一部のがんができる可能性を高めます。グルテンを食べないようにすれば、その可能性を減らすことができます。
医師は、失われたビタミンやミネラルを補うために、それらのサプリメントをあなたに出すことがあります。もし疱疹状皮膚炎の発疹があれば、医師はあなたに薬を出すこともあります。