乳幼児で過度の啼泣を起こす主な病気

原因*

一般的な特徴†

検査

心疾患

心不全‡や心拍の異常

呼吸困難、授乳困難、大量発汗

しばしば、医師の診察時に異常な心音が聴取される

胸部X線検査

心電図検査

心エコー検査

消化器系の病気

牛乳タンパク質アレルギー

嘔吐

下痢や便秘

哺乳不良

体重減少、発育不良、またはその両方

血便

便検査

人工乳を変更すると症状が軽くなる

ときに、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、またはその両方

便秘

便が硬く、排便の頻度が少なく排便困難

ときに排便時の明らかな痛み

ときに肛門の裂け目(裂肛)

医師の診察

胃食道逆流症

授乳後に起こる症状、例えば、むずかりや啼泣、溢乳、背中の反り返り

ときに、横になったときのせきや体重増加不良

医師の診察

ときに、胃酸の生産を抑制する薬の投与(症状が軽くなった場合、おそらく原因は胃食道逆流症)

ときに、バリウムを経口投与してから行う上部消化管のX線検査、食道の酸性度や逆流回数を測定する検査(食道pHまたはインピーダンス検査)、内視鏡検査

嵌頓(かんとん)ヘルニア

赤く腫れて触ると痛い鼠径部の膨らみ

医師の診察

腸重積‡(腸の一部が別の部分の中に滑り込んだ状態)

15~20分毎に起こる啼泣(脚を胸に引き寄せることが多い)

その後、腹部触診時の圧痛とイチゴゼリー状の便(血液を含むため)がみられる

典型的には、生後3カ月~3歳の小児

腹部の超音波検査

直腸への空気注入(空気注腸)

腸捻転‡(腸のねじれ)

嘔吐、腹部の膨隆、腹部触診時の圧痛

ときに血便または排便の停止

腹部X線検査

下部消化管造影または空気注腸

感染症

耳の感染症(中耳炎)

しばしばかぜ症状(鼻水やせきなど)

ときに発熱

耳の痛み

医師の診察

髄膜炎

発熱、嗜眠、ぼんやりする

頭蓋骨の間の軟らかい部分(泉門)の膨隆

むずかりや易刺激性(特に抱かれた場合)、なだめられない状態、哺乳不良

腰椎穿刺

尿路感染症(UTI)

しばしば発熱

排尿時の啼泣や痛み

尿検査と尿培養検査

けが

骨折

腫れや皮下出血

腕や脚を使いたがらない

沐浴、おむつ交換、医師の診察時の痛み

X線検査

角膜上皮剥離(眼の表面の傷)

このほかに症状はない

剥離が見えるように点眼薬をさした後、眼を診察(フルオレセイン検査)

毛髪のからまりによる血流圧迫

毛髪が巻きついた部位より先の足の指、手の指、陰茎の腫れ

医師の診察

頭のけが‡

なだめられない、甲高い啼泣

ときに、頭に腫れた部位

頭部CT検査

その他の原因

かぜの治療に使用する薬

最近のかぜ薬の投与

医師の診察

歯の萌出

歯が生え始めるか生える準備がほぼ整っている、よだれ

ときに、夜間の不眠や浅い眠り

ときに微熱

歯が生えた後、消失する症状

精巣捻転‡(精巣のねじれ)

腫れて痛みのある赤い陰嚢

陰嚢のドプラ超音波検査

ワクチンの副作用

最近のワクチン接種(24~48時間以内)

医師の診察

*過度の啼泣のうち、病気が原因のものは5%未満です。

†特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。

‡まれですが、生命を脅かすものであり、直ちに治療する必要がある病気です。

CT = コンピュータ断層撮影、ECG = 心電図検査。

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