PET検査

執筆者:Mehmet Kocak, MD, Rush University Medical Center
レビュー/改訂 2021年 4月
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やさしくわかる病気事典

PET(陽電子放出断層撮影)検査は核医学検査の一種です。放射性核種とは放射線を出す元素のことで、エネルギーを放射線の形で放出することで、安定した状態になろうとする原子です。放射性核種の多くは高いエネルギーの光子をガンマ線の形で放出しますが、PET検査では陽電子と呼ばれる粒子を放出する放射性核種を使用します。

PET検査では、体内で使用(代謝)されるグルコース(ブドウ糖)や酸素などの物質を放射性核種で標識します。体内で使用される物質と放射性核種の複合体を放射性物質といいます。トレーサーは体の特定の領域に集まります。この際、組織の活動が活発であればあるほど(例えば、より多くのグルコースまたは酸素を消費すればするほど)、そこに多くのトレーサーが集まり、より多くの放射線が放出されます。

PET検査の装置は複数の環状の検出器から成り、これらが放出された放射線を記録します。データは複数の角度から記録されます。これらのデータがコンピュータで処理され、体の断面のように見える一連の2次元画像(断層画像)が作成されます。このデータから3次元画像を作成することもできます。

得られた画像を見ると、色の濃さの違いで組織の活性度の違いが分かるようになってます。PET検査ではこのようにして組織の機能に関する情報が得られ、正常な組織よりも活性度が高いまたは低い異常な組織を特定することができます。ただし、PET検査では、CT検査MRI検査ほどの詳細さで組織や臓器の解剖学的構造を描出することはできません。

画像検査の概要も参照のこと。)

PET検査の手順

検査の前には、アルコール、カフェイン、タバコ製品、精神機能に影響を及ぼす可能性のある薬剤(鎮静薬など)を摂取しないよう指示されることがあります。

まず、標識した物質を患者の静脈内に注射し、検査部位に物質が到達するまで約30~60分待機します。

患者が細く柔らかい可動式の台に横になると、撮影者が台の位置を調節し、検査部位がPET装置の大きな円形の穴の中に入るようにします。

検査には45~60分かかることがあり、その間は基本的に横になっているよう指示されます。また評価する部位によっては、脳を活性化させる精神的作業などの何らかの活動を行うよう指示されることもあります。

PET検査の用途

PET検査は、心臓や脳の血流と活動性を評価したり、がんなどの異常を検出したりする目的で用いられます。

心臓

心臓のPET検査では、心臓がどの程度機能しているかを知ることができるため、冠動脈バイパス術や心臓移植の条件を満たしているかどうかを判断するのに役立ちます。

脳のPET検査では、脳がどの程度機能しているか、特定の活動時(例えば、計算時など)にどの領域が最も活性化されるかを調べることができます。

PET検査は、アルツハイマー病とパーキンソン病の診断や、けいれん性疾患の評価に役立つこともあります。

がん

PET検査では、がんの発生部位や広がり、治療に対する反応を知ることもできます。

PET検査の約80%は、がんの評価のために行われています。PET検査で評価できるがんとしては、肺がん、大腸がん、食道がん、頭頸部がん、リンパ腫、黒色腫などがあります。

がん患者でみられたリンパ節の腫れががんの拡大(転移)によるものか、それ以外の異常によるものかを判断する上でも役立ちます。

様々なPET検査

PET-CT検査

通常、PET検査はCT検査と組み合わせて行われます。PET-CT検査では、詳細な2次元画像が得られ、CTにより解剖学的な構造が、PETにより臓器の機能が明らかになります。CTによる画像とPETによる画像は別々に見ることもできますし、一方の画像に他方を重ねて見ることもできます。そのため、この検査法では解剖(構造)と機能の両方について有益な情報が得られ、構造、機能、またはその両方に影響を及ぼす異常を特定するのに役立ちます。

頸部や骨盤など、様々な組織が近接している部位に発生したがんを評価する場合は、この検査が特に有用です。また、がんの位置を正確に突き止めたり、再発を早期に検出するのにも役立ちます。

通常、この検査は1時間もかかりません。

PET検査の短所

PET検査では、CT検査と同程度の放射線被曝があります。PET検査とCT検査を同時に行うと、使用する線量は著しく高まります。

PET検査で使用する放射性核種は短時間しか放射線を放出しないため、放射性核種が検査施設の近くで作られていて、それを速やかに入手できる場合でなければ、行うことができません。

また、PET検査は比較的多くの費用がかかるため、多くの病院で受けられるわけではありません。

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