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びまん性軸索損傷

執筆者:Gordon Mao, MD, Indiana University School of Medicine
レビュー/改訂 2023年 3月
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びまん性軸索損傷は、脳の神経細胞の一部である軸索が広範囲に損傷した状態で、頭部外傷により起こる可能性があります。

本ページのリソース

軸索は神経細胞の一部で、神経インパルスを通過させる役目をします。びまん性軸索損傷は、脳全体の軸索が損傷した状態です。

神経細胞しんけいさいぼう典型的てんけいてき構造こうぞう

神経細胞しんけいさいぼう(ニューロン)は、おおきな細胞さいぼう本体ほんたい複数ふくすう神経線維しんけいせんいでできていて、神経線維しんけいせんいとしては、信号しんごうおくるためのながくのびた1ぽん突起とっき軸索じくさく)と、信号しんごうるための多数たすうえだ樹状突起じゅじょうとっき)があります。軸索じくさくからおくられて信号しんごうは、シナプス(2つの神経細胞しんけいさいぼう同士どうし接合せつごうのこと)を通過つうかしてべつ細胞さいぼう樹状突起じゅじょうとっきつたわります。

おおきな軸索じくさくは、のう脊髄せきずいでは乏突起膠細胞ぼうとっきこうさいぼうに、末梢神経系まっしょうしんけいけいではシュワン細胞さいぼうにそれぞれつつまれています。これらの細胞さいぼうまくはミエリンとばれる脂肪しぼう(リポタンパクしつ)でできていて、このまく軸索じくさくなんそうにもしっかりときついて、髄鞘ずいしょうばれる構造物こうぞうぶつつくっています。髄鞘ずいしょうは、ちょうど電気でんきケーブルをつつんでいる絶縁体ぜつえんたいのようなものです。髄鞘ずいしょうがある神経しんけいでは、髄鞘ずいしょうがない神経しんけいより神経しんけい信号しんごうがずっとはやつたわります。

びまん性軸索損傷は通常、転倒・転落や自動車の衝突が原因で起こります。びまん性軸索損傷は、揺さぶられっ子症候群で起こることもあります。揺さぶられっ子症候群とは、乱暴に揺さぶられたり、投げつけられたりした乳幼児にみられる脳損傷をいいます。びまん性軸索損傷が起こると脳細胞が壊死し、脳が腫れる結果、頭蓋骨内の圧力(頭蓋内圧)が高まります。頭蓋骨内の圧力が高まると脳への血流が減少するため、損傷が悪化します。

びまん性軸索損傷では、6時間以上持続する意識消失を起こします。ときに、脳損傷のその他の症状を伴うこともあります。頭蓋内圧が上昇すると、昏睡が起こることがあります。

通常、びまん性軸索損傷はCTまたはMRI検査によって発見されます。

びまん性軸索損傷の治療は、その他の頭部外傷の治療と同様です。例えば、医師は呼吸と血圧を十分な値に維持し、頭蓋骨内の圧力が上昇しすぎないよう対策を講じます。

手術は役に立ちません。

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