遺伝性周期熱症候群は、発熱やその他の症状が周期的に現れる遺伝性疾患で、小児期によくみられる感染症やその他の一般的な病気による発熱とは異なります。
全年齢層で最もよくみられる遺伝性周期熱症候群は、次のものです。
発熱を起こすものの、遺伝性ではないと考えられているよく似た病気として、次のものがあります。
PFAPA症候群(周期熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、頸部リンパ節炎)
その他のまれな症候群として、次のものがあります。
遺伝性クリオピリン関連周期性症候群(クリオピリン病):この症候群には、家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS)、マックル-ウェルズ症候群(MWS)、新生児期発症多臓器系炎症性疾患(NOMID)が含まれます。気温の低下がきっかけとなり、発熱、発疹、関節痛などが周期的に現れます。免疫系の機能を変化させるアナキンラ(anakinra)やリロナセプト(rilonacept)、カナキヌマブなどの薬が有効なことがあります。
高IgD症候群:この症候群では、発熱、腹痛、頭痛、関節痛、発疹、リンパ節の腫れなどが現れます。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)やコルチコステロイド、アナキンラ(anakinra)が発作中の症状緩和に役立つことがあります。発作の予防のためにアナキンラ(anakinra)やカナキヌマブが投与されます。
腫瘍壊死因子受容体関連周期性症候群(TRAPS):この症候群では、発熱に加えて、筋肉痛、腕や脚の腫れ、腹痛、関節痛、発疹などが周期的に現れます。コルチコステロイドであるプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)を使用して発作中の症状を抑えます。発作に対してはアナキンラ(anakinra)やカナキヌマブ、ときにエタネルセプトが用いられます。
PAPA症候群(化膿性関節炎、壊疽性膿皮症、にきび):この症候群では、関節炎症、皮膚潰瘍、にきびなどが現れます。思春期までに、関節炎は治まる傾向があり、皮膚の問題が主な症状となります。アナキンラ(anakinra)やエタネルセプトが役立つことがあります。にきびは、抗菌薬テトラサイクリンやイソトレチノインで治療します。
© Springer Science+Business Media
遺伝性周期熱症候群の症状は通常、小児期に始まります。18歳を過ぎてから症状が現れる患者は10%未満です。周期的に発熱や炎症の発作が現れますが、発作を起こしていないときは元気です。