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外耳の発生異常

執筆者:Bradley W. Kesser, MD, University of Virginia School of Medicine
レビュー/改訂 2024年 2月
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やさしくわかる病気事典

発生異常は出生時から認められるか、出生後間もなく特定されます。外耳の発生異常としては、小耳症や外耳道閉鎖(外耳道がふさがったままの病態)などがあります。小耳症には、しばしば外耳道閉鎖が伴います。

本ページのリソース

小耳症

小耳症は発生異常の1つで、耳の外側の部分(耳介)が十分に形成されない病気です。耳介の発達の程度に応じて、小耳症にも様々な程度があります。発達の程度は、適切な軟骨がすべてそろっている小さいだけの耳(第I度)から、軟骨がほとんどまたは一切なく皮膚と軟部組織の盛り上がりだけがある小さなピーナッツ型の耳(第III度)まで様々です。まれに、耳介がない状態で生まれることがあり、これは無耳症(むじしょう)と呼ばれます。

小耳症の修復経験が豊富な形成外科医なら、人工材料、患者自身の肋骨の軟骨、または多孔性の樹脂素材でできたインプラントを用いることで、多くの場合、より正常に見えるように耳介を再建できます。

外耳道閉鎖

外耳道閉鎖は、外耳道の一部または全部が形成されない病気です。外耳道がない場合、通常は鼓膜もなく、中耳や中耳の骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)の形成不全を伴います。外耳道閉鎖の小児には、音が中耳や内耳に効果的に伝わらない(伝導しない)ため、難聴がみられます。通常、内耳(蝸牛)は健全で、正常に形成されています。

一部の小児では、医師が手術で外耳道をあけ、鼓膜を形成し、外耳道と中耳から健全な内耳へと音を伝導する自然な経路を再建することがあります。手術による外耳道閉鎖の修復は外耳道形成術と呼ばれ、聴力を改善することができますが、すべての音の高さ(周波数)で正常な聴力が得られることはめったにありません。

骨導補聴器が外耳道閉鎖の治療に使用されることもあります。この補聴器は頭蓋骨を振動させることで内耳に音を伝えます。この補聴器は、頭の周囲にしっかり巻きつけた硬い金属のバンドや柔らかいバンドに装着します。骨導補聴器は、両耳に外耳道閉鎖がある小児が正常な発話と言語を発達させるのに重要な器具です。

特殊な埋め込み型骨導補聴器が、柔らかいバンドや硬いバンドに装着する骨導補聴器の代わりとして使われることが増えてきています。この補聴器は、頭蓋骨に手術で埋め込まれた、チタン製の端子や磁気を帯びた板に取り付けられます(そのため埋め込み型骨導補聴器といいます)。米国では、5歳以上の小児にこれらの補聴器を手術で埋め込んで使用することが、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されています。

これらの補聴器の重要な特徴は、音を効果的に内耳へと伝導するために、頭蓋骨に密着させなければならないことです。

耳の内部の構造

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