アデノイドの病気

執筆者:Alan G. Cheng, MD, Stanford University
レビュー/改訂 2022年 5月
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アデノイドの腫れと炎症は、小児によくみられ、呼吸を困難にし、睡眠障害や繰り返す耳の感染症につながります。

  • 小児では、感染症が原因でアデノイドが腫れることがあります。

  • 腫れが症状を引き起こすことは通常ありませんが、呼吸困難や嚥下(えんげ)困難、ときに繰り返す耳や副鼻腔の感染症、または閉塞性睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあります。

  • 診断は鼻咽頭鏡検査の結果に基づいて下されます。

  • 細菌感染症がみられる場合に抗菌薬が用いられることがあり、感染症が繰り返し起こる場合は、ときにアデノイドを切除することもあります。

アデノイドは、鼻腔とのどがつながっている場所にあるリンパ組織の集まりです。のどを通って侵入してくる細菌やウイルスを捕らえ、抗体をつくることにより、体を感染症から守っています。アデノイドは2~6歳の小児で最も大きくなります。

アデノイドの位置

アデノイドはリンパ組織で、口蓋の奥の、鼻腔とのどがつながっている場所に位置しています。アデノイドは口からは見えません。

アデノイドの病気の原因

未就学児や青年期の小児では、何らかの問題が原因でなくとも、アデノイドが比較的大きい場合があります。しかしながら、アデノイドは、のどの感染症(のどの痛み)を起こす細菌やウイルスに感染して腫れることもあります。細菌またはウイルスに感染している小児(保育施設の小児など)に持続的に接していると、感染のリスクが上昇します。さらに、アレルギー(季節性アレルギーや通年性アレルギーなど)や刺激物質のほか、ときに胃食道逆流症によっても、アデノイドの腫れが起こる可能性があります。極めてまれですが、がんが原因でアデノイドが腫れることがあります。

アデノイドが腫れると鼻が詰まったりのどの奥と耳をつなぐ耳管が閉塞したりすることがあります。通常、問題の原因が解消されればアデノイドは正常な大きさに戻ります。ときに腫れたままの場合もあり、特に感染症が頻繁に起きたり慢性化したりしている小児にみられます。

アデノイドの病気の症状

アデノイドが腫れても、ほとんどの場合は何の症状も引き起こしません。しかし、アデノイドが腫れると、鼻が詰まったような声になることがあります(かぜを引いているような声になります)。アデノイドが腫れている小児では、口蓋の形状や歯並びに異常がみられることがあります。口呼吸の傾向がみられたり、慢性中耳炎を併発して難聴、鼻血口臭せきもみられたりする場合もあります。

アデノイドの病気の診断

  • 鼻咽頭鏡検査

特徴的な症状、慢性の耳の感染症、または繰り返す副鼻腔感染症がみられる小児や青年で、アデノイドの腫れが疑われます。通常、鼻とのどの奥を観察するために、鼻咽頭鏡(観察用の柔軟な管状の機器)を鼻から通します。

アデノイドの病気の治療

  • 原因の治療

  • ときにアデノイド切除術

アレルギーが原因でアデノイドが腫れていると考えられる場合は、医師はコルチコステロイドのスプレー式点鼻薬や、抗ヒスタミン薬など他の内服薬を投与することがあります。原因が細菌感染であると考えられる場合には、抗菌薬を投与することがあります。これらの薬が効かない場合や有用ではないと判断された場合には、医師は手術によるアデノイドの切除(アデノイド切除術)を勧めることがあります。

小児に以下がみられる場合、アデノイド切除術が勧められることがあります。

  • 頻繁な耳の感染症と、持続的な中耳への体液貯留

  • 声の変化を起こしたり睡眠を妨げたりする、繰り返し起こる鼻血や鼻の閉塞

  • 副鼻腔の感染症

アデノイド切除術には、かぜやせきの頻度や程度を軽減する効果はないようです。

アデノイド切除術には全身麻酔が必要ですが、通常は外来で行うことができます。アデノイド切除術からの回復には一般的に2~3日かかります。

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