トルコ鞍空洞症候群

執筆者:John D. Carmichael, MD, Keck School of Medicine of the University of Southern California
レビュー/改訂 2021年 3月 | 修正済み 2022年 9月
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トルコ鞍空洞症候群(エンプティセラ症候群)ではトルコ鞍(下垂体が入っている脳基底部の骨構造)が髄液で満たされ、部分的または完全に下垂体を圧迫し、トルコ鞍が拡大することがあります。

    甲状腺の概要も参照のこと。)

    トルコ鞍空洞症候群は、脳周囲の髄液とトルコ鞍を分離する障壁に欠損がある病気です。その結果、髄液が下垂体とトルコ鞍の壁を圧迫します。トルコ鞍は拡大し、下垂体は小さくなり、その結果、画像検査ではトルコ鞍が空洞に見えます。

    トルコ鞍空洞症候群は、過体重と高血圧のある中年女性に多く発生します。まれに下垂体手術、放射線療法、あるいは下垂体腫瘍の梗塞(こうそく)つまり死滅の後にも発生します。

    トルコ鞍空洞症候群では症状がみられない場合もあり、重篤な症状が生じることはめったにありません。約半数で頭痛を生じ、高血圧になる人もいます。まれに髄液が鼻から漏れたり、視覚に問題が生じることもあります。

    トルコ鞍空洞症候群はCT検査またはMRI検査で診断できます。血液中のホルモン量を測定することで下垂体の機能を調べ、ホルモンの過剰または欠乏がないことを確認します。しかし、下垂体の機能は通常は正常です。

    治療が必要になることはまれです。下垂体によるホルモン生産が過剰または過少な場合にのみ治療が行われ、どのホルモンが影響を受けているかによってどのような治療が行うかが決まります。治療では、欠乏しているホルモンを補充したり、過剰なホルモン生産を抑制する薬剤を投与したりすることがあります。

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