気分障害の概要

執筆者:William Coryell, MD, University of Iowa Carver College of Medicine
レビュー/改訂 2021年 8月
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精神障害のうち、長期間にわたり悲しみで過度に気持ちがふさぎ込む(うつ病)、喜びで過度に気持ちが高揚する(躁病)、またはその両方を示す感情的な障害を示す障害を気分障害といいます。うつ病と躁病は気分障害の両極にある状態です。

気分障害は感情障害とも呼ばれます。感情とは、顔の表情やしぐさによって表現される気持ちの状態を意味します。

悲しみや喜びは日常生活で普通に経験する感情であり、気分障害の特徴である抑うつや躁状態とは異なります。悲しみは、喪失、敗北、失望、心的外傷(トラウマ)、不幸をもたらす出来事などに対する自然な反応です。

愛する人の死、離婚、失恋など、何らかの喪失体験や死別に直面した人が嘆き悲しんだり、ふさぎ込んだりするのは、最も一般的で自然な反応です。通常は、気分障害に陥りやすい人でなければ、死別や喪失体験が原因で日常生活に支障をきたすほどに抑うつ状態が長引くことはありません。一部の人々では、愛する人を失ったことで、生活に大きな支障をきたす抑うつが長期にわたった引き起こされることがあり、遷延性悲嘆症と呼ばれています。

知っていますか?

  • 医師を受診する人のおよそ30%が抑うつ感があると述べますが、重度のうつ病がある人は10%未満です。

過度に強い悲しみまたは高揚がみられ、他の典型的な症状を伴っていて、身体的、社会的、および職業上の機能に支障をきたしている場合に、気分障害の診断が下されます。

抑うつ状態だけがみられる場合は、単極性障害と呼ばれます。双極性障害と呼ばれる別の気分障害では、抑うつ状態と躁状態または軽躁状態(比較的軽い躁状態)が交互にみられます。抑うつ状態を伴わない躁病(単極性躁病と呼ばれます)は非常にまれです。

主治医を受診した人の約30%が症状の1つとして抑うつを訴えますが、実際に重度のうつ病がある人の割合は10%未満です。米国では人口の約4%が 双極性障害にかかっています。

小児や青年も気分障害を発症することがあります。

気分障害がある場合、特にうつ病を伴うものの場合は、日常生活を送れない、対人関係を維持できない、食欲不振、極度の不安アルコール使用障害といった他の問題のリスクも高まります。うつ病を治療しないと、15%もの人が自殺によって命を絶ってしまいます。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国精神保健協会(Mental Health America):健康全般に欠かせない要素として精神衛生を促進し、公共政策に関する教育資料や情報を提供する、地域に根ざした非営利組織

  2. 全米精神障害者家族会連合会(National Alliance on Mental Illness [NAMI]):精神障害を抱えている人々の生活の改善に取り組む、草の根レベルの組織としては米国最大規模の精神医療団体

  3. 米国国立精神衛生研究所(National Institutes of Mental Health[NIMH]):研究、法律、普及活動を含めた精神障害の様々な側面に関する一般的な情報

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